そこで骨折の応急処置や治療について、帝京大学医学部整形外科学講座講師の松井健太郎医師に聞いた。
骨折の種類と特徴
骨折と一口にいっても、原因や部位、状態、程度などによって種類はさまざまだ。「骨にひびが入った」状態の軽症なものから、折れた骨が皮膚を突き破って体外に露出した「開放骨折」、骨が複雑に粉砕した「粉砕骨折」などの重症なタイプまである。
原因で分けると、いわゆる通常の「骨折」のほか、「疲労骨折」「病的骨折」の3つに分類できる。
通常の骨折は、外から強い力が加わったことによるもので、交通事故やスポーツ、転落などで起こりやすい。疲労骨折は、小さな力が骨の同じ部分にくり返し加わることで起きる骨折だ。テニスやマラソンといったスポーツなどで、特別な動きをくり返している人に起こりやすい。
そして病的骨折は、何らかの病気によって骨がもろくなることで起きる骨折のことをいう。例えば、がんの骨転移や骨粗鬆症があると、転倒や咳、くしゃみなどでも骨折することがある。とくに骨粗鬆症では背骨に衝撃が加わることで、背骨がつぶれたように折れる「圧迫骨折」、あるいは転倒によって足の付け根の大腿骨頸部の骨折が起きやすい。
「高齢化によって、骨粗鬆症に関連する高齢者の骨折が非常に増えています。とくに女性は閉経後に骨粗鬆症を発症しやすくなるので、注意が必要です」
「骨粗鬆症そのものは痛くもかゆくもなく症状がありませんが、骨折を起こすとそのまま寝たきりになることもあり、失うものは大きいといえます。骨折は骨粗鬆症の治療によって予防できます。骨密度を知っておくこと、必要があれば治療することが大事です」
と松井医師は言う。
骨は基本的には丈夫にできていて、健康であれば相当な強い力が加わらない限り折れることはない。尻もちをついただけで骨折してしまったといった場合は、何らかの病気がある可能性があるので、骨粗鬆症の有無など原因を探る必要がある。
骨密度の検査は整形外科や自治体の健診センターなどで受けられる。
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