捻挫の応急処置や受診の目安、治療について、帝京大学医学部整形外科学講座講師の松井健太郎医師に聞いた。
捻挫とは、関節をひねったことで起きるケガをいう。足首、ひざ、手首、肩、首など関節であればどこでも起きる可能性がある。車の追突事故などで起きやすいむち打ちも「頸椎(けいつい)捻挫」といって、捻挫に含まれる。
関節の中でとくに捻挫をしやすいのが、足首だ。骨同士をつなぎ、関節を支えている靭帯が損傷しやすいという。
ジャンプして着地したときなど、運動中に起きることが多いが、ヒールが高い靴を履いているときや、段差を踏み外したときなど、日常生活でも起こる。体重を支える足首は、直角になっているときは安定しやすいが、ハイヒールなどを履いて足の甲とすね部分の角度が広がると緩みやすく、不安定になってひねりやすいためだ。
とくに足首が硬い人(柔軟性がない人)は、捻挫しやすいといわれている。
さらにいうと、足首は内側にひねりやすい。骨格の構造上、足裏が内側を向くようにひねりやすいためで、外側の靭帯は内側と比べて全体的に弱いという性質もある。
そして、足首を内側にひねったときに損傷するのは、たいてい外側の靭帯だ。足首を内側に倒したときに支えているのが、外側の靭帯だからだ。足首外側にある靭帯の中でもとくに捻挫で損傷しやすいのが、脛骨(すねの骨)の外側にある腓骨(ひこつ:外くるぶしの骨)と足首の下部分にある距骨(きょこつ)をつなぐ「前距腓(ぜんきょひ)靭帯」だという。
捻挫の重症度は3段階
捻挫の重症度は、靭帯の損傷の程度によって以下の3段階に分けられる。
・部分的に切れている状態
・完全に断裂している状態
主な症状は痛みと腫れで、内出血が生じることもある。損傷の程度が重いほど、症状も強く出る傾向がある。とはいえ靱帯はたとえ切れていても、普通に歩けることが多い。ちなみに、前距腓靭帯が損傷した場合は、外くるぶしの前側や下側に症状が出る。
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