【寝ぼけ】「睡眠時の奇声」男性に多い病気の正体 自覚少なく、家族が気づいて病気がわかる例も

✎ 1〜 ✎ 50 ✎ 51 ✎ 52 ✎ 最新
拡大
縮小
「睡眠中に起き上がって徘徊したり、奇声を上げたり」は認知症のサインかもしれません(写真:mits/PIXTA)
睡眠中に大声を発する、隣で寝ている家族に暴力を振るう。70代以上の高齢男性で問題となっているのが「レム睡眠行動障害」だ。睡眠中の身体的な行動には、寝ぼけたまま歩き回る「夢遊病」もあるが、レム睡眠行動障害とは別物だという。
なぜ寝ているにもかかわらずこうした行動をとってしまうのか。精神科医で、早稲田大学睡眠研究所所長の西多昌規さんに話を聞いた。

睡眠時の病気と聞くと、睡眠中に何度も呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」が思い浮かぶかもしれない。睡眠時無呼吸症候群と同じく、男性の患者が多い病気で、とくに70代の高齢者で問題となっているのが、レム睡眠行動障害だ。

「レム睡眠行動障害」とは?

奇声をあげるほか、隣に寝ている人を殴る、蹴るといった暴力的な行動が見られるケースもある。一緒に寝ている妻が被害に遭うため、本人だけでなく家族も身の危険を感じる病気だ。

なぜそのような行動を起こしてしまうのか。それは名前の通り、レム睡眠が関係している。

人は寝ている間に、レム睡眠(脳が活動している状態)と、ノンレム睡眠(脳が休息している状態)の2種類の睡眠状態が繰り返されている。

睡眠の経過とノンレム睡眠・レム睡眠
睡眠の経過とノンレム睡眠・レム睡眠(西多さんの提供資料を編集部で改編)

 

本来、レム睡眠中の体は休息していて、眼筋や胸部の筋肉といった最低限の筋肉しか動いていない。ところがレム睡眠行動障害の患者の場合は、レム睡眠中も体が動いてしまう。 脳と筋肉をつなぐ神経が異常をきたしていることで、体が動いてしまうのだ。

70代の高齢男性は、人生の大半を仕事に費やしている人が多い。そのため「夢の内容は、部下を怒っているなど、仕事がらみのケースが多い」(西多さん) という。

次ページ本人に危機感はあまりない
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT