なぜ寝ているにもかかわらずこうした行動をとってしまうのか。精神科医で、早稲田大学睡眠研究所所長の西多昌規さんに話を聞いた。
睡眠時の病気と聞くと、睡眠中に何度も呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」が思い浮かぶかもしれない。睡眠時無呼吸症候群と同じく、男性の患者が多い病気で、とくに70代の高齢者で問題となっているのが、レム睡眠行動障害だ。
「レム睡眠行動障害」とは?
奇声をあげるほか、隣に寝ている人を殴る、蹴るといった暴力的な行動が見られるケースもある。一緒に寝ている妻が被害に遭うため、本人だけでなく家族も身の危険を感じる病気だ。
なぜそのような行動を起こしてしまうのか。それは名前の通り、レム睡眠が関係している。
人は寝ている間に、レム睡眠(脳が活動している状態)と、ノンレム睡眠(脳が休息している状態)の2種類の睡眠状態が繰り返されている。
本来、レム睡眠中の体は休息していて、眼筋や胸部の筋肉といった最低限の筋肉しか動いていない。ところがレム睡眠行動障害の患者の場合は、レム睡眠中も体が動いてしまう。 脳と筋肉をつなぐ神経が異常をきたしていることで、体が動いてしまうのだ。
70代の高齢男性は、人生の大半を仕事に費やしている人が多い。そのため「夢の内容は、部下を怒っているなど、仕事がらみのケースが多い」(西多さん) という。
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