精神科医で、早稲田大学睡眠研究所所長の西多昌規さんに、悪夢を見るメカニズム、悪夢を見ることで考えられる疾患について話を聞いた。
人はなぜ悪夢を見るのか。それを知るためには、まずは睡眠の仕組みを理解する必要がある。
睡眠の仕組みについて
私たちが眠りについて目が覚めるまでの間には、レム睡眠と、ノンレム睡眠という2種類の睡眠状態が繰り返されている。
レム睡眠は、眼球がキョロキョロと動く急速眼球運動(Rapid Eye Movement)の頭文字から名づけられている。この間、体は休んでいるものの、脳は活動している。
一方、ノンレム睡眠はレム睡眠の逆で、体だけでなく脳も休息している。ノンレムはさらに「まどろみ期(ごく浅い睡眠)」「軽睡眠期(寝ていても、何かの音に気づいて起きることがある)」「深睡眠期(ちょっとやそっとでは寝覚めない)」の3つに分類される。
つまり、〈ノンレム睡眠(まどろみ期→軽睡眠期→深睡眠期)→レム睡眠〉が、1晩で4~5回繰り返され、夜明けになるにしたがってレム睡眠の持続時間が長くなる。
悪夢をあまり見ない人もいれば、子どもの頃から悪夢を見る人もあり、個人差がある。
では、なぜ悪夢を見るのか。それは、扁桃体と呼ばれる、恐怖心や不快感といった感情に深く関わっている脳の部位が、レム睡眠中に過活動になっているためだとされる。 これは過去のトラウマ経験を持つ人や、ストレスに晒されている人に見られる傾向だ。
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