【悪夢】頻繁に見る人に潜む病と「脳のカラクリ」 怖い夢には「抗ストレス作用」があるという説も

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PTSDの患者の悪夢の内容は、PTSDに罹患していない人が見る、何かに失敗したり、何かに追いかけられたりするような悪夢とはやや異なる。

地震で被災したのであれば津波の夢、ハラスメントを受けたのであればハラスメントに遭った夢、といったトラウマ体験をリプレイするようなものだ。トラウマ体験に伴った悪夢がレム睡眠中に生じることで、覚醒後に強い恐怖感や不快感を覚えることが多い。

悪夢を見るPTSD以外の病気

悪夢に日々悩まされている場合は、PTSD以外にも、急性ストレス障害(ASD:事故や犯罪に巻き込まれて、一時的な強いストレスを受けることで発症。集中力の低下や、イライラ、動悸・呼吸困難になることも。1カ月以内には症状が消える)を疑うこともあるという。

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「職場や学校でのストレスであれば、悪夢を見ている本人もその原因に気がつきやすいですが、家庭でのストレス、たとえば親子関係や夫婦関係といったところになると、本人も気づいていなかったり、気づいていたとしても他人に言いづらかったりします」(西多さん)

悪夢を見ることが日中の仕事に影響を及ぼしたり、眠ることに恐怖感を覚えたりする場合は 、睡眠障害を専門とするクリニックなどの医療機関に行ったほうがよいだろう。

後編は、睡眠中に奇声を発する、暴力的な行動をする、など高齢男性に多い「レム睡眠行動障害」について、原因と治療法を紹介する。

関連記事:【寝ぼけ】「睡眠時の奇声」男性に多い病気の正体

(取材・文/若泉もえな)

早稲田大学スポーツ科学学術院教授、早稲田大学睡眠研究所所長、精神科医
西多昌規医師

東京医科歯科大学医学部卒業。ハーバード大学客員研究員、東京医科歯科大学大学院助教、自治医科大学講師、スタンフォード大学客員講師などを経て、現職。日本精神神経学会精神科専門医、日本睡眠学会専門医、日本老年精神医学会専門医など。専門は睡眠医学、身体運動とメンタルヘルス、アスリートのメンタルケアなど。著書に、『休む技術』『休む技術2』(大和書房)、『悪夢障害』(幻冬舎新書)、『自分の「異常性」に気づかない人たち』(草思社文庫)などがある。
東洋経済オンライン医療取材チーム 記者・ライター

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