【捻挫】実は勘違いも多い!湿布の正しい使い方 足首のひねり「クセになりやすい人」の特徴は?

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保存療法をして2〜3カ月経っても痛みが続いていたり、足首がガクガクしてゆるいような感覚があったりしたら、別の治療が必要になることもあると松井医師。

「靭帯が断裂したままであったり、捻挫を起こした結果、軟骨も損傷していたりする可能性があります。このようなときはMRI(磁気共鳴画像)検査で、より詳しく靭帯や軟骨の状態を確認し、場合によっては手術を検討します」

一般的に捻挫で手術をするケースは少なく、関節が不安定で捻挫を繰り返しやすく困っているケースや、痛みが続いて日常生活に支障が出ているケースのほか、スポーツ選手でパフォーマンスに影響が出ているケースなどに限られる。

捻挫の最新治療とは?

靭帯が切れている場合は、切れている部分をつなぎ合わせる再建手術を行う。捻挫をしてから時間が経っていて、靭帯の断端が縮んでいるような状態であれば、ひざ関節などにある靭帯を移植する手術が行われる。

近年、靭帯の再建手術は、関節鏡(内視鏡)を用いることが多い。先端に拡大視できるカメラがついた内視鏡を関節内に挿入して操作する。

従来は皮膚を3cm程度切開する必要があったが、関節鏡を使用するときは0.5cm程度の小さな穴を数カ所開けるだけでできるので、傷が小さく、回復が早くなる。さらに拡大視によるメリットも大きい。

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「関節鏡を使うと足首の内部の様子を詳しく見ることができ、MRI検査でも映らなかった靭帯や軟骨の状態がわかります。また、繰り返し炎症を起こすと滑膜(かつまく)という組織が増殖して、それが痛みの原因になることがあるのですが、関節鏡ではそれを除去できるというメリットもあります」(松井医師)

整形外科は捻挫や骨折などの外傷のほか、関節リウマチや骨粗鬆症、変形性股(膝)関節症など、幅広い運動器の疾患を診ている。

体の部位によっても「脊椎外科」「手の外科」「肩関節外科」「股関節外科」など多数の専門分野があるので、足首の捻挫は、「足の外科」を専門としている施設や医師のもとで手術を受けたほうがいいだろう。

(取材・文/中寺暁子)

帝京大学医学部整形外科学講座講師
松井健太郎医師

2003年、京都府立医科大学卒。筑波メディカルセンター病院、聖マリアンナ医科大学救急医学、埼玉医科大学総合医療センター高度救命救急センターなどを経て、2020年から現職。骨折治療、足の外科を専門とし、同院外傷センターで骨折を中心とする整形外科外傷マネージメントに取り組む。日本整形外科学会専門医。
東洋経済オンライン医療取材チーム 記者・ライター

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とうようけいざいおんらいんいりょうちーむ / TKO Iryou-Team

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