一方、保存療法では、一般的に1カ月程度ギプスで固定する。長く固定すると周囲の筋肉が硬くなるため、レントゲン検査によって骨のつき具合を確認し、ギプスを外す時期を見極める。
「液状のセメントがだんだん固まってコンクリートになるように、骨も最初はやわらかく、時間の経過とともに硬くなっていきます。レントゲンに新しい骨が写るのは、骨折して2~4カ月後くらいです。ギプスを外したからといって、いきなり体重をかけるのではなく、痛みや腫れが出ないように様子をみながら、少しずつ負荷をかけていくことがポイントです」(松井医師)
治癒まで半年~1年かかる
治療期間については、部位やずれの程度、年齢などのほか、喫煙習慣の有無によっても変わってくる。高齢者や喫煙者は治りが遅いといわれている。また、体重がかかる足は少しずつ負荷をかけていくため、元通りに歩けるようになるまでには時間がかかる。
手術でも保存療法でも、骨が完全にもとの状態に治るまでは、一般的に半年から1年はかかる。その間は定期的に受診して、レントゲン検査で骨の状態を確認することが必要だ。
なお、骨折は整形外科であれば治療できるが、近年は「外傷センター」といった名称で骨折の診断、治療を専門的に実施する施設が増えている。
とくに開放骨折や粉砕骨折など重症の場合は、外傷センターなど骨折を専門としている施設のほうが手術の経験が豊富な可能性が高く、術後の経過を考えると安心といえそうだ。
(取材・文/中寺暁子)
松井健太郎医師
2003年、京都府立医科大学卒。筑波メディカルセンター病院、聖マリアンナ医科大学救急医学、埼玉医科大学総合医療センター高度救命救急センターなどを経て、2020年から現職。骨折治療、足の外科を専門とし、同院外傷センターで骨折を中心とする整形外科外傷マネージメントに取り組む。日本整形外科学会専門医。
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