とくに骨粗鬆症のリスクが高まる40歳以上の女性は、70歳まで5年ごとに公的検診を受けられるので、自治体などに問い合わせてみよう。そのほか、一般的な健康診断の項目には含まれていないことが多いので、気になる人はオプションとして付け加えてもいいかもしれない。
骨とその周囲には血管や神経がたくさんある。そのため、骨折すると血管や神経がダメージを受け、腫れや痛みが表れる。しかし腫れや痛みは捻挫(ねんざ)などでも起こるため、明らかに骨や関節が変な角度に曲がっているなどしない限り、症状だけで骨折かどうかを判断するのは難しい。
「一般的には捻挫よりも骨折のほうが、腫れや痛みの症状は強くなります。例えば、足であれば歩けないほどの痛みの場合、骨折の可能性が高くなります。ただし、骨折していても歩けることもあるので、診断にはレントゲン(X線)検査が必要です」
と松井医師は言う。
知っておきたい応急処置
交通事故や転落事故などに遭い、開放骨折や骨が大きく変形していることがわかれば、救急車などで早急に病院に搬送してもらう必要があるが、すぐに受診できないときの応急処置は、万が一のために覚えておいたほうがいいだろう。
やり方のポイントは、“安静にして、骨折が疑われる部分を固定する”ことと、“患部を冷やすこと”が基本だと、松井医師。
「固定するときは、患部に雑誌や段ボールなど平らなものを当ててから、包帯などを巻いておくと、痛みが和らぎやすいです。また、可能であれば患部の下にクッションなどを置いて心臓よりも高い位置に保つと腫れが和らぐことがあります」
さらに傷や出血があれば、その場所を包帯やテープなどで適度に圧迫したほうがよいそうだ。
骨の中には骨をつくる「骨芽細胞」や、骨を吸収する「破骨細胞」など生きた細胞があり、骨折しても基本的には骨は再生して自然に治る。したがって、治療は“折れた骨がもとの状態になるように環境を整えること”が目的となる。
治療は、大きく分けて、手術とギプスで固定する保存療法がある。どちらを選択するかは骨折の部位や、骨のずれの程度、年齢などのファクターによって決まる。
「手術を選択するのは、主に保存療法では骨がつかなそうなケース、そのまま骨がついてしまうと困るケース、ずれが大きいなどの理由で骨がつくまでに長期間かかりそうなケースです」(松井医師)
一方、ひびが入っているだけのケースや、骨折部のずれが少ないケースは、基本的には骨がつきやすく、そのままついても困らないために保存療法を選択する。
「部位でいうと、肋骨の骨折はほとんど手術しません。骨がつきやすく、多少ずれたまま骨がついたとしても困らないからです。一方、手首の骨折でずれが大きいときは、そのまま骨がつくと手首が変形してしまうので手術を選択します」(松井医師)
ただ、外見上で変形があっても、日常的な動作に支障が生じるわけではないため、高齢者で手術のリスクを避けたい場合などは、保存療法を選択するそうだ。
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