老眼になにか前兆はあるのだろうか。梶田医師によると、初期にはよく、「夕方老眼」と呼ばれる症状が見られるという。
「夕方ごろ、近くを長い間見た後に遠くを見ると、遠くがかすんで見えるといった症状が出やすい。そうなったら、老眼が進行しはじめていると思ってよいでしょう」
さらに、下記の老眼度チェック項目をみてほしい。40歳以上でこの中の1つでも当てはまれば、老眼が進んでいる可能性があるという。
こうした症状を放置していると、どのような不都合があるのだろうか。
老眼の放置で自律神経が乱れる
「老眼による眼精疲労の症状がピークをすぎると、体調不良となって体に別の症状が表れることがあります」(梶田医師)
老眼が体調に影響する理由は、目のピント調節には自律神経が大きく関わっているためだ。自律神経には交感神経と副交感神経がある。
どこを見るともなくボーッと見ているときにピントが合っているところを「調節安静位」という。個人差はあるが、おおむね1メートルぐらいの位置にあり、それ以上遠いと遠視、近いと近視だ。そして、調整安静位より遠くにピントを合わせるときは交感神経が、近くにピントを合わせるときは副交感神経が働く。
「これは昔の狩猟生活が関係しています。獲物をとるために遠くを見るときに活動モードになっているのです」と梶田医師。
だが、これが現代では逆転している。仕事も生活も活動モードになる状況は、遠くよりも比較的近距離を見ているときに発生する。
なかでもデスクワークの場合、パソコンやスマホまでの距離は15~75センチと調節安静位よりも近くにあり、視点合わせという意味では副交感神経が活発に働いている。仕事をアクティブにこなすため体では交感神経が働いているのに、目だけは副交感神経が働いているという、ちぐはぐな状況が起こっているのだ。
長時間スマホやパソコンを見ることで、自律神経ではアンバランスな状態が続く。その結果、老眼の症状や目の疲れに加えて、頭痛や肩こり、眼の奥の痛み、さらにひどくなると、倦怠感やうつ状態など体全体の不調に影響することもあるという。
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