下血(肛門からの出血)の原因として多い病気は、大腸憩室(けいしつ)、痔、虚血性大腸炎、潰瘍性大腸炎やクローン病、大腸がんなど。これらのほとんどは大腸内視鏡検査によって診断される。
「痔であっても、肛門だけでなく大腸内視鏡で腸の奥をチェックすることが大事。痔からの出血だと思っていたものが、実は直腸がんからだった、というケースが少なからずあるからです」
また、白倉さんは下血などの自覚症状がなくても、40代になったら1度は大腸内視鏡検査を受け、異常がなかった場合も、その後は2~3年に1回の頻度で定期的に検査を受け続けるよう勧めている。40代からは大腸がんを発症する人が明らかに増えるからだ。
内視鏡検査で見つかれば根治も可能
2020年国立がん研究センターがん情報サービス統計によれば、大腸がんは女性では死因の1位、男性では3位である。罹患数も年々、増えている最も身近ながんなのだ。
「大腸内視鏡で見つかったものは、根治が期待できる早期がんであることがほとんど。切除も大腸内視鏡でできるものが多いです。だからこそ、『つらそうだから』と検査を受けないのはもったいないです」と白倉さんは言う。
大腸がんの発生源の1つである腺腫(せんしゅ)というポリープ(良性腫瘍)も40代以降、多く見つかる。ポリープを大腸内視鏡で切除すれば大腸がんの予防となる。
「会社や自治体のがん検診では便潜血検査(検便)を受けますが、そこで陽性だった人は精密検査として、大腸内視鏡を受けることが勧められています。しかし、実際は検査を受けずに放置してしまっている人が多いようです。『がんが見つかるのが怖い』という理由もあるようですが、この段階で見つかれば、早期(がん)の可能性が高いです」
残念ながら、大腸内視鏡検査に対するイメージは決していいものではない。オリンパスが2021年に30~60代の男女1万8800人を対象に行った「胃・大腸がん検診と内視鏡検査に関する意識調査白書」によれば、「大腸内視鏡検査はつらいイメージ」と答えた人が86.5%(40~60代)だった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら