【血便】真っ赤はキケン?大腸がんとの見分け方 ほかにも下血がサインの緊急性が高い病気3つ

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便に血が混じっている!? どんな病気が考えられるでしょうか。対処法とともに紹介します(写真:GARAGE38/PIXTA)
便意をもよおしてトイレに行ったら便ではなく、血が出てきた、あるいは便に血が付着していた、などということはないだろうか。下血は少量であっても要注意。背景になんらかの病気が潜んでいる可能性が高い。
どのような病気が想定されるのか。危険な下血とその兆候、受診のタイミングなどいついて、松島クリニック診療部長の白倉立也さんに聞いた。

おしり(肛門)から出る、目に見える出血を「下血(血便)」という。硬い便を無理に出したときに肛門が切れて出血することもあるが、そうではないことのほうが多い。ちなみに口から血が出る場合は、食道や胃などの消化器であれば「吐血(とけつ)」、気管支や肺など呼吸器からであれば「喀血(かっけつ)」という。

「下血の原因となる病気はたくさんありすぎて、すべてを紹介できませんが、とにかく放置は危険です。大腸がんということもありますが、良性の病気でも、出血性ショックといって急激に血液量が減少することで血圧低下や呼吸困難、意識障害などを起こすこともあります」と白倉さんは警告する。

今回は、日常的によく見られる下血の原因疾患を紹介しよう。

緊急性の高い病気は3つ

白倉さんはただちに止血処置が必要なことが多い、緊急性の高い病気として、「大腸憩室(けいしつ)」と「痔」「虚血性大腸炎」を挙げる。

まずは「大腸憩室」。憩室とは食道から大腸までの消化管の壁の一部が外側に押し出されて、ポケット状に突出していることをいう。これが大腸にできたものが大腸憩室だ。

大腸の腸壁には細胞に栄養を送るための血管(動脈)が通っている。しかし、血管の周囲は筋肉がなく、壁が薄いため、内側からの圧力に弱い。このため、年をとってきて腸壁が弱くなったり、便秘によって腸の内側からの圧力(内圧)が高まった場合などにポケット状の憩室ができやすい。

憩室は5~10ミリのものがほとんどだが、大きいものでは2センチを超えることもあり、たいていは複数できている。かかりやすい年代は70~80代だが、40代でも見られる。かつては男性に多いといわれていたが、女性も徐々に増えている。大腸内視鏡をすると約10%に見つかるという報告もある。

「憩室の出血原因は2つ。1つは袋の内側に便が溜まってそこで細菌が繁殖し、炎症が起こる。それによりもろくなった血管からじわじわと出血するパターン。もう1つは便秘などで憩室に過度に内圧がかかった拍子に突然、憩室の血管が破れるパターンです。緊急性を要するのは後者です」

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