最近は、加齢による老眼とは別に、10~20代の若者にもスマホの使いすぎによる「スマホ老眼」が増えている。眼を酷使することによって、毛様体筋が凝り固まってうまく働かず、一時的に近くが見えにくくなる症状だ。この場合、「老眼」とはいっても、加齢による老眼とはまったく別のものだ。
「とくにコロナ禍以降、室内にいることが増え、近くばかりを見てあまり遠くを見ない生活を余儀なくされた結果、10歳以下の子どもも含むすべての年齢でスマホ老眼が増えています」(梶田医師)
スマホ老眼の場合は基本的に一過性の症状であるため、正しい目の使い方をして、毛様体筋のコリをほぐすことができれば、8割程度の人は回復するという。
これに対し、加齢による老眼は基本的に治すことはできない。60歳ぐらいで水晶体の厚さはほぼ固定されるため、その頃には進行はほぼ止まるが、それまでは水晶体の弾力は徐々に失われ、進行していく。
今からでもできる老眼対策
それでも、老眼初期の段階から対策を講じることができれば、その進行を緩やかにすることは可能だという。梶田医師が勧める老眼対策は以下の5つだ。
①については、40歳前の老眼症状の出始めから使うのが理想だ。正しく調整されたメガネやコンタクトレンズは目の疲労を防ぎ、老眼の進行を緩やかにできるという。
「老眼があまりに進んでしまってからでは、視界が歪んで見えたり、ピントが合いにくかったりすることもあります。できるだけ初期のうちから早めに使って慣れておくほうがいいでしょう」(梶田医師)
②はスマホ老眼の視力回復にも有効とされる目のストレッチだ。
具体的には、視線を手元からギリギリピントが合う遠い位置まで動かし、遠い位置でピントが合ったら視線を手元に戻す。これを10分に1回程度、1~2秒行う。すると、ピントを合わせるために毛様体筋と水晶体が動き、毛様体筋の中の血管も伸び縮みする。血液の循環が良くなり、疲れがたまりにくくなる。
「10分に1回、天井を見上げるのがお勧めです。上を見ると首が伸び、頸部にある交感神経叢が伸びて交感神経を刺激します。自律神経のバランスも整います」(梶田医師)
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