「目が悪い」というと、ほとんどの人が近視をイメージする。かつて、視力検査では遠くが見える目ほど「いい目」とされていたためだ。ところが、スマホを多用し、デスクワークにパソコンが欠かせない現代における「いい目」とは、むしろ近視だと梶田医師は言う。
近くがよく見えたほうがいい
「スマホや家の中、バスや電車の掲示板など、いまや必要な情報のほとんどは目から15センチから4メートル程度の中近距離にしかありません。とくによく見るスマホは、目から15~20センチの距離。そうした時代において、遠くが見えても近くが見えづらい遠視は生活しにくい。近くのものが楽によく見える近視の目こそがいまの時代の『いい目』といえます」(梶田医師)
近視の人は近くは見えるが遠くがよく見えないために、メガネ作りでもつい、「いまよりも遠くが見えるようにしたい」と思いがちだ。メガネ選びで梶田医師が重視するのは、「視力をよくばらない」ことだという。
「自分の仕事環境や生活環境をふまえて、『快適さ』を優先してメガネのレンズの度数を設定するといいでしょう。テレビとの距離、パソコン作業中の画面との距離、車の運転など、どこにピントを合わせるかで必要な度数も変わってきます」(梶田医師)
かつては「いい目」とされた遠視の人は、自分はいい目だからと裸眼で頑張り続けないことが大切だ。65歳を過ぎてしまうと、そこからいざ、メガネをかけようと思っても、体がメガネに慣れることができなくなってしまうという。メガネに慣れるということは、自転車に乗ることと似ているのだ。
「遠視で裸眼のままメガネをかけずに年齢を経てしまうと、73歳ぐらいで認知症の症状が出てくる人がいます。『メガネをかけてしっかり見る』ということは認知機能を高め、認知症を予防する観点からも重要です。できるだけ早い時期からの最適なメガネ選びが大切です」(梶田医師)
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