苦しい時、「好きな仕事」が助けてくれる 世界が評価する漫画家の知られざる苦悩

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高浜寛さんはデビュー以来、国内よりも海外でいち早く評価されてきた作家だ。著作の多くがフランス語訳されており、『イエローバックス』でアメリカ「The Comics Journal」誌「2004年ベスト・オブ・ショートストーリー」を受賞。各国の著名な画家・作家らとともにファッションブランド「カルティエ」の商品ブックレットにも作品を寄せている。
最新作となる『蝶のみちゆき』は長崎丸山遊郭の遊女と病の男との切ない愛を描き、フランス政府芸術文化勲章受章作家の谷口ジローと、フランスB.D.の巨匠・ペータース&スクイテンが絶賛している。

 

前編 「筑波大卒漫画家」というキャリアはどう生まれたか

基本的に性善説というスタンスで描く

塩野:『蝶のみちゆき』も『四谷区花園町』も、出てくる人が優しいですよね。前者で言えば、廓(くるわ)のやり手であるおたきさんですとか……。

高浜:九州人はいい人なんです。意地悪なおばちゃんなんだけど、困っている時はちゃんと助けてくれたり。いつもはすごいバカにしたり、こき下ろしたりしても、ときどきおかずを「食べなさい」と持って来てくれたりするんですね。

塩野:やっぱりそういうご自身のオリジンというか、血筋のようなものが作品に出ているなと思われますか?

高浜:あると思います。東京と優しさの出方が違う感じがしますよね。私は性善説が好きで、基本的にみんな優しいんだというスタンスで描いています。

塩野:最近の漫画ではそういう優しさを感じるものがあまりないですね。

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