「ニュース英語」をすらすら読めるようになるコツ 英文を前から順番どおりに読んでいくといい
例えば、何かを申請するときには所定の書式に必要事項を記入して提出する場合がありますが、それを指定の期間内に提出できない場合は申請が却下されたり手続きが遅れたりすることがあります。
そんなとき、英文では次のように無生物主語を使うことが好まれるのです。
こうした内容の文章を書くとき、日本語ではどうしても主語が“申請者”という生物主語になりますが、英語では“Failure to submit”(提出に失敗すること)のような無生物主語を使った方がより自然に感じられます。
次に挙げる無生物主語が使われた典型的なニュース英語記事をご覧ください。
オミクロン株によるコロナ感染が広がったときに、その原因の1つとして、米軍兵が在日米軍基地に来るにあたって、PCR検査などによる事前の陰性確認をしていなかったことが指摘され、日本政府と米軍に対して批判の声が上がったことがありました。これは、そのことについての記事です。
(Japan Times, 2022/1/21)
spike(動)急増する
infection(名)感染
toughen up(動)(熟)強化する、引き締める
どう読めばいい?
最初の“After - wave of infections”までの文章は、文法用語では“従属節”と呼ばれるもので、“local pressure - considerably”という本文章のメインテーマである“主節”に“~のあと”(after)という時の指定をしています。
すなわち、この部分は、“新型コロナ感染者数が現下の感染の波の初期において、在日米軍基地のある県で急増した(spike)あと”という意味になり、それに続く主節がどのような時に起こったことなのかを指定する働きをしているわけです。
ここで見ていただきたいのは、2行目の“local pressure”以降の英文です。この“local pressure”以降の英文には、“toughen up”, “entering”, “grew”という3つの動詞が入っていますが、この文章では何が主語で、それを受ける動詞はこれら3つの中のどれになるのでしょうか。
まず主語については、基本的にはその文章の先頭にくることが多くなっています。つまり、ここでは“local pressure”(地方の圧力)がそれにあたるわけです。
しかし、“local pressure”だけではいまひとつ内容がはっきりしません。その内容をより明確にしているのが、その後に続く“on”以下の部分なのです。前記のとおり、ニュース英語では欠けている情報は後から追加で提供される構造になっています。
ここでは、“local pressure”といっていますが、“local”が何に対して“pressure”をかけているのかという情報が必要になります。その情報が分かるのが、その後に続く“on”以下になるわけです。具体的には、“on the central government”と書かれているように、県などの地方自治体(local)の中央政府に対する“pressure”という意味になるわけです。
しかし、これだけでもまだ情報不足です。その後を見ると、“to toughen up testing procedures”とあります。つまり、政府に対して感染拡大を防ぐために検査体制を厳格化(toughen up)するように圧力をかけるという意味です。
では、誰に対する検査を厳格化するのかというと、これについてもその後に、“on Japan-based U.S. military personnel entering Japan”と新しい情報が提供されていますので、それが“日本に入国する在日米軍兵に対して”だということが分かります。
つまり、この主節の文章では、狭義では“local pressure”が、また広義では“local pressure – entering Japan”までが無生物主語になっているわけです。そして、そのような無生物主語を受ける動詞が、そのあとに続く“grew”になるわけです。
日本語では、“local pressure”(地方自治体の圧力)のような無生物が主語になることは珍しいですが、ニュース英語ではこうした無生物主語の方がむしろ自然なのです。
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