「ニュース英語」をすらすら読めるようになるコツ 英文を前から順番どおりに読んでいくといい

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KEYPOINT③ 言い換え表現が大好き

ニュース英語の3つ目の特徴は、驚くほど言い換え表現が好きだということです。もっとも、先に出てきた単語や語句を後の文章では別の単語や語句で言い換えることは英文全般に見られることで、必ずしもニュース英語に限ったことではありません。

しかし、ニュース記事は読者の興味を持続させないと読んでもらえませんので、いかにして読者を飽きさせないようにするか、人一倍神経を使っています。もし記事が同じ単語や語句を繰り返すような単調な文章になっていたら、誰もその記事を読んでくれないでしょう。そのため、記者は文章の中で同じ単語や語句を繰り返して単調になる愚を避けるよう、大変気を使っているのです。

また、同じ単語や語句を何度も繰り返して使うと、英文が稚拙な印象を与えることになります。それは記者の教養のなさを示すことにもなりますので、記者はできるだけ同じ単語や語句を使わずに、それを別の単語や語句で言い換える努力をするわけです。

では、ニュース英語ではどのような言い換えをするのか、具体例をご紹介していきましょう。ご紹介するのは、前にも取り上げたテニスの大坂なおみ選手に関するものです。

The pressures of tennis world have caused Osaka to consider taking a hiatus from the sport in the past. Last year, she announced that she was considering a break from tennis.
(NBC NEWS, 2022/3/14)

“hiatus”,“the sport”, “break”, “tennis”に注目

大坂選手は今や世界でも有数の女子プロテニス選手ですが、プロテニス界でトップの座を維持するための重圧がすごいためか、この記事でも示唆されているように、メンタル面で少し過敏なところがあるようです。

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さて、本題のニュース英語の言い換え表現に戻りますと、この英文で注目していただきたいのは太字の“hiatus”,“the sport”, “break”, “tennis”という4つの単語です。

最初の“hiatus”ですが、この単語はTOEICはもちろんのこと、英検1級でもほとんど出てこないようなかなりの難単語の1つで、“中断”、“途切れ”、“断絶”などという意味です。

では、この“hiatus”はほかのどの単語に言い換えられているのかといいますと、それはすでにお気づきの方も多いかと思いますが、答えは3つ目の太字の“break”という単語です。

日本語でも会議などで少し休憩をとることを“ブレイクをとる”というように、“break”にも“hiatus”と同じような“中断”、“断絶”、“小休止”といった意味があります。つまり、ここでは、“hiatus”を言い換えて“break”を使っているわけです。

では、“hiatus”のすぐ後に出てくる“sport”はどうかというと、それは言うまでもなく“tennis”に言い換えられています。すなわち、“a hiatus from the sport”と“a break from tennis”はまったく同じことを、違った名詞の単語を使ってうまく言い換えているわけです。

なお、ここでは言い換えとして最も頻繁に見られるものとして名詞を言い換えた英文例をご紹介しましたが、そのほかにも、動詞型、形容詞型、熟語型、文章型、単語と文章のハイブリッド型などさまざまな言い換えパターンがありますので、それらについては第5章でよりくわしくご紹介していきたいと思います。

TOEICや英検の勉強をされている方はすでに十分理解されていると思いますが、各種の英語試験でも言い換え表現は頻出しており、そのような言い換え表現をしっかり見抜けるかどうかが高得点を取る鍵になっています。

その意味でも、ニュース英語を読んでさまざまな言い換え表現の型に慣れておくことは、TOEICや英検の受験対策としても大変有効です。

三輪 裕範 経済評論家

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みわ やすのり / Yasunori Miwa

1957年兵庫県生まれ。1981年神戸大学法学部を卒業後、伊藤忠商事に入社。
1991年にハーバード・ビジネス・スクールにて経営学修士号(MBA)を取得。その後、ニューヨーク店経営企画課長、大蔵省財政金融研究所主任研究官、経団連21世紀政策研究所主任研究員、伊藤忠商事会長秘書、調査情報部長、伊藤忠インターナショナル上級副社長(SVP)兼ワシントン事務所長等を歴任。2017年にはジョンズ・ホプキンス大学大学院高等国際問題研究所(SAIS)の上級客員研究員を務める。英検1級、TOEIC満点9回取得(2022年8月現在)。
 

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