「ニュース英語」をすらすら読めるようになるコツ 英文を前から順番どおりに読んでいくといい

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しかし、英文を読んでいく際には、基本的には英文を前から順番どおりに読んでいけばいいのです。日本語に訳すときのように、後ろから前に戻って読む必要はまったくありません。というのも、英文はその基本的な性格として、足りない情報を後から追加していくという構造になっているからです。

例えば、ロシアのウクライナ侵攻に関して、安全保障や外交を担当するアメリカと中国の高官が会談したことを伝える下記の記事をご覧ください。

U.S. national security adviser Jake Sullivan pressed a top Chinese official over China’s alignment with Russia during what U.S. officials said was an intense, seven-hour meeting that included discussion of the Russian invasion of Ukraine.
(Wall Street Journal, 2022/3/14)
[語注]
press(動)迫る、追求する
intense(形)激しい、緊迫した
invasion(名)侵略

前から順番にそのまま読んでいけばOK!

まず、このニュース記事の内容を簡単にご説明しておきましょう。冒頭に出てきているように、記事の主語となる主人公はジェイク・サリバン国家安全保障補佐官です。そのサリバン補佐官が中国のトップの政府高官(a top Chinese official)に対して何かを“press”したと書かれていますが、この“press”は“プレッシャーをかける”とか、“迫る”といった意味です。

では、サリバン補佐官は何について“press”したのかといいますと、それは次に出てくる前置詞のover以下に書かれています。すなわち、“中国がロシアと行動を一体化させること”(China’s alignment with Russia)です。

そうした中国に対する懸念をサリバン補佐官は中国側にどんな場で伝えたのかといいますと、それはその後の前置詞during以下に書かれています。

アメリカの高官が語ったところによると(what U.S. officials said was)、それは“張り詰めた7時間にも及ぶ会談”(an intense, seven-hour meeting)の場であったと書かれています。

そして、7時間にも及んだその会談では、thatという関係代名詞を使って、“ロシアのウクライナ侵攻に関する議論もした”(that included discussion of the Russian invasion of Ukraine)と書かれています。

このように、ニュース英語は、前から順番にそのまま読んでいけば、欠けている情報が次から次へと追加提供されていき、自然に理解できる形になっています。

上記のニュース記事では、こうした追加情報提供の橋渡し役を果たしていたのはoverやduringなどの前置詞と、thatという関係代名詞でしたが、これら以外にも橋渡し役を務めるものは数多くあります。

例えば、関係代名詞にはthatのほかにもwho、which、whatなどがありますし、関係副詞のwhereなども頻出します。それ以外にもニュース英語では、現在分詞や過去分詞、asやwhileなどの接続詞、that節、同格のof、カンマやダッシュなども追加情報を提供するための橋渡し役として頻繁に登場します。

KEYPOINT② 無生物主語を偏愛する

ニュース英語の2つ目の特徴は、無生物主語が非常によく出てくるということです。それは「偏愛」と呼んでもいいぐらい頻繁に出てきます。もちろん、無生物主語はニュース英語だけではなく、それ以外の英語にもよく出てきます。しかし、その頻度はニュース英語が群を抜いて多くなっています。

無生物主語とは、人間や動物のような生命をもたない事物が主語になることです。こうした無生物は日本語ではあまり主語にはならないのですが、英語ではむしろこうした無生物を主語にした文章の方が多いぐらいで、ネイティブ・スピーカーにはその方がより自然に感じられます。

次ページ無生物主語の例
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