■苦しい感情にふたをしないで■
周囲の人の「頑張れ」と言う声は、
今のあなたには酷な言葉だろうと思います。
大事なのは、抱えている苦しい感情にふたをしないこと。
そして、泣ける場所や、
黙って泣かせてくれる人が必要だと思います。
茫然自失の状態で悲しむことができない時期、取り乱して泣き叫ぶ時期、理不尽な現実に怒りが込み上げる時期、失ったものに目を向けて涙が止まらない時期、現実を理解してしみじみ泣く時期など、さまざまな過程を経て、少しずつ現実と向き合えるようになっていくものです。
あなたは決して立ち止まっているのではなく、すでに現実と向き合うプロセスを進んでいるのです。泣いても、いいのです。十分すぎるほど、あなたは頑張っておられます。
無理に前向きにならなくてもいい
■「病は気から」は、がんには当てはまらない■
落ち込んだり、心配したりしても、
病気には影響がありませんから、安心してください。
私が専門とするサイコオンコロジー(がんとこころの医学)の領域では、「こころの状態ががんに影響を与えるのか?」を明らかにする研究が過去たくさん行われていました。
その結果、こころのあり方はがんの治療成績には影響しないことが明らかになり、最近はそのような研究はあまり目にしなくなりました。厳密な科学的な立場からは、ないと言い切るのに慎重にならざるをえず、「あったとしてもわずか」という表現を付け加える必要がありますが。
「病は気から」という言葉がありますが、がんには当てはまらないようです。「笑っていると免疫力が上がる」ということを聞いて不安になった方には、無理に前向きにならなくても大丈夫ですよと、私はいつもお伝えしています。
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