「あなたのため」と世話を焼く人の心理と「断り方」 患者にサプリや水を勧める人に見られる共通項

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病気を患うと、「○○を飲むといい」「××医が名医だから転院したほうがいい」などと言ってくる人たちがいます。そんなときの対処法などを考えます(写真:GARAGE38/PIXTA)
病気になる。しかも、それががんのような重い病気だったとしたら――。病気や治療に対する不安な気持ちや、うつうつとしたやりきれなさを抱える、そんながん患者に寄り添ってくれるのが、精神腫瘍医という存在です。
これまで4000人を超えるがん患者や家族と向き合ってきたがんと心の専門家が、“病気やがんと向き合う心の作り方”を教えます。今回のテーマは「周りがサプリを勧めてきたら?」です。

筆者の外来に通っている患者さんの1人、須磨崎良子さん(仮名、46歳)は卵巣がんの治療を終えて、現在は経過観察中です。ある日の外来で、親戚が勧めるサプリメントが話題となりました。

叔母がサプリを勧めてくる

須磨崎さん:小さいころから私のことをなんやかんや心配してくれる叔母がいるのですが、健康サプリを勧めてくるんです。叔母は子宮頸がんになった経験があり、「自分もよかったから、良子ちゃんも絶対飲んだほうがいい」って。私はサプリが好きじゃないので、最初ははぐらしていたのですが、電話のたびにその話題が出て、だんだん断れない雰囲気になってきてるんです……。

筆者:はぐらかさずに、嫌なら嫌とはっきり言ったらよいのに。

須磨崎さん:叔母は私のことを考えて善意で言ってくれるので、断ったら悪いと思ってしまうのです。

筆者:なるほど。叔母さんの好意を無下にしてはいけないと思っているのですね。

須磨崎さんに限らず、がんになると、いろんな人がさまざまなアドバイスをしてきます。そこには、「このサプリメントがいい」「この水がよい」「糖分や乳製品は控えたほうがよい」など、科学的な根拠はないものも少なくありません。

なかには、現在の医療機関や医師を信頼して治療を受けているのに、「その病院はダメ。この病気ならこの病院がよくて、○○先生が名医だから移ったほうがいい」などと言われて、困惑したという話も聞きます。

このような自分が望まないことに対してはきっぱり断れる人もいる一方、相手は善意で言ってくれているのだからと、つい話を聞いてしまい、断りづらくなっている人もいます。相手のプレッシャーに負けて、飲みたくないサプリメントや水を買ってしまった人もいるでしょう。

では、善意だから無下にしてはいけないと思って、話を聞く人は優しい人で、きっぱり断るのは薄情な人なのでしょうか?

いいえ、まったくそんなことはありません。

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