前回:5年生存率33%でも…「今を見て大切に生きたい」
Mさん(34歳で発症)は10万人に1人というメラノーマ(悪性黒色腫)を頭皮に発症。頭部拡大切除手術を受けます。しかし、その1年半後に再発。全身に転移が見られましたが、分子標的薬による治療を受けながら仕事(教員)を続けています。
31歳で念願の教員採用試験に合格
Mさんは受験6回目、31歳のときに、念願の教員採用試験に合格します。合格の通知が届いたときは大はしゃぎして喜んだのに、赴任地の通達が届いたときは大いに悩みました。網走にほど近い紋別の特別支援学校に配属となったからです。夫婦離れ離れになることに不安を感じたMさんの背中を押してくれたのはご主人でした。
「せっかく頑張って受かったんだから、行っておいでよ」と。
特別支援学校では男子ばかりの1年生8人のクラスを担当します。毎日、とにかく賑にぎやか。一気に大家族のお母さんになったようで、Mさんは楽しく、愛情いっぱいに生徒たちに接しました。
Mさんは親御さんたちとともに、不必要に縛る子どもたちへの「支援」をどんどん外すことに時間をかけて挑戦していきました。そして、ようやく生徒全員の就職先が決まった年の暮れ、Mさんは、つむじのあたりに黒い大きなほくろのようなものができていることに気づきます。
Mさんには1つだけ、小さい頃から自慢に思っていたことがありました。真っ直ぐでサラサラした黒髪です。それは、お母さんと幼い頃の自分をつないでくれるものであり、高校生のときには、「あんたの髪、超高級って感じがするよね」と友達がほめてくれたものです。
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