一般的にがんの治療成績は、がんの種類や性質と、がんがどの程度まで進んでいるかによって決まります。がんの進み具合はステージIからステージⅣまでの4段階で分類されることが多く、数字が大きいほど進行しているという意味になります。
がんと診断されることだけでなく、もっとも進行していることを意味するステージⅣと告げられれば、誰でも大きなショックを受けると思います。
しかし、必ずしもステージⅣががんの末期というわけではなく、病気と付き合いながらにはなりますが、今では長期的に生きておられる方も少なくありません。実際、近年のがん治療はとても進歩しているので、根治するケースも出てきています。
ステージⅣと診断された患者さんの心のうちを、1人の男性が語ってくださいました。
がん検診3年放置でがんが進行
藤原孝史さん(46歳男性、仮名)は、ある日、便に血が混じっていることに気づきました。職場の健康診断は毎年受けていましたが、便潜血の検査(検便)だけは、便をとるのを忘れるなどで、3年ほどは受けないままでいたのです。藤原さんの脳裏に一抹の不安がよぎりましたが、「まあ、大したことないだろう」と気持ちをなだめ、念のためにと、自宅近くの消化器内科を受診しました。
消化器内科で大腸の内視鏡検査を受けるため、ベッドに横になった藤原さん。内視鏡が挿入されて間もなく、検査を担当している医師の顔が曇ったことに気付きました。「直腸にがんらしきものがありますね」と告げられ、モニターを見ると、そこにはいびつな黒みがかった隆起が写っていました。
不安な気持ちにさいなまれつつも、「がん治療も進歩しているし、きちんと治せばいいだろう」と、楽観的な見通しを持っていた藤原さん。紹介先の大学病院で詳細な検査を受けましたが、その結果は本人の期待に反して、厳しいものとなりました。
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