酒を飲みすぎる人に知ってほしい減酒のススメ

完全にやめるのでなく抑制して付き合っていく

アルコール依存症になる手前の段階でコントロールするやり方がある(写真:KEN226/iStock)

お酒で失敗した過去がある、お酒の飲み方に不安がある──。

そんな人は家にいる時間が長い今こそ、お酒との付き合い方を見直すチャンスかもしれない。そのキーワードとなるのが、アルコール依存症の新たな治療として注目されている、「減酒」だ。

その前に、コロナ禍でたびたび取り沙汰される飲酒問題について振り返っておきたい。

第1波、第2波の最中に何度も報じられたのが、飲酒が増えているという問題だ。日本アルコール関連問題学会も、「時短・在宅勤務導入による在宅時間の延長(中略)などの環境変化に加え、不況による経済不安、〝Stay Home〟による孤独感を紛らわすための手段として、飲酒量が増加し、それに伴う飲酒問題が生じることが懸念されます」と声明を出した。

コロナ禍で飲酒量が増えた明確な証拠はない

だが実は、コロナ禍で飲酒量が増えたかは定かではない。

例えば、国税庁が公表している酒税課税状況表。これは出荷された酒類の数量を示したものだが、2017、18、19年、今年の4年間を比較してみると、今年は7月こそ増えていたもののあとは例年より少ない傾向にあり、なかでも5、8月は大きく減っている。

全日本断酒連盟が6月下旬から8月下旬にかけて断酒会の会員を対象に行ったアンケート調査でも、約80%がコロナ禍でも断酒を続けており、飲酒をしてしまった人はわずか6%にすぎなかった。

アルコール依存症治療の第一人者、独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター院長(横須賀市)の樋口進さんも、「当院を受診している患者さんが、行動制限がかかった状態でどうなるのか心配していましたが、大きな変化はなかったようです」と言う。そのうえで、その背景として次のように考察する。

「コロナ以前と違い、今は付き合いなどで飲む機会が減っています。国税庁の数字はそうした結果が表れたのではないでしょうか。アルコールはストレス発散の1つの材料になるので危惧していますが、現段階ではコロナ禍での飲酒状況は見えていません」

さて、アルコール依存症では、専門機関で病気が診断されると入院治療によってアルコールを完全に断つ環境を作り、同時に離脱症状に対する対処療法を行っていく。けっこうハードな断酒治療が行われていた。

それに対して、飲酒による問題について飲酒量を減らすことで緩やかに解決していくのが、減酒治療だ。

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