酒を飲みすぎる人に知ってほしい減酒のススメ 完全にやめるのでなく抑制して付き合っていく

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目指すのは、禁煙外来のような存在だ。「そのためにも使える薬が増えたほうがいい」と樋口さん。

そもそも減酒治療自体は決して新しいものではなく、ヨーロッパでは昔から行われていた治療法だ。日本で行われていなかったのは、断酒治療が盛んだったアメリカの流れを汲んでいたからだ。

さらに最近は、問題(依存)の原因を絶つのではなく、「原因があっても問題を起こさなければいい」という考え方が出てきている。それが「ハームリダクション」というものだ。わかりやすいのは、ゲーム依存だろう。ゲームをする時間をゼロにするのではなく、うまく付き合いながら生活の質を向上させるという治療が主流になっている。

アルコール依存症の手前でコントロールできれば

そもそも、アルコール依存症とは、多量飲酒を続けることで脳に問題が生じ、自分の意思では飲酒をコントロールできなくなる病気だ。飲みたい気持ちが抑えられなくなり飲酒量が増えた結果、心身に悪影響を及ぼして仕事や家庭に支障を来たす。当然ながら、その段階になってからの治療は厳しく、キツい。一度やめても再び飲み出す再発率も高い。

だが、その前の段階で飲酒をコントロールできるようになれば、飲酒をやめずにすむ。もちろん酒がすべてではないが、人との付き合いなどを踏まえると、飲酒できる状況を残しておいがほうがいいともいえる。

厚生労働省の調査などによると、現在、高血圧や糖尿病、脂質異常症、肝臓・すい臓障害などの生活習慣病のリスクを高める飲酒者(1日平均で男性40g以上、女性20g以上)は、推定で1036万人。問題飲酒がある人(AUDIT=飲酒習慣スクリーニングテスト=で12点以上)は593万人、アルコール依存症患者107万人。対して、医療機関で治療を受けている人はたったの4万6000人にとどまっている。

※純アルコール量は、ビールレギュラー缶14g、酎ハイ(7%)レギュラー缶20g、日本酒(15%)1合29g、焼酎(20%)1合29g、ワイングラス1杯12g。

減酒治療の対象になるのは、この1036万人だ。外食や付き合いによる飲み会が減って、まわりからの影響を受けにくい今こそ、飲酒の見直しとともに減酒治療を受けてみるという選択肢は、案外、ありかもしれない。

鈴木 理香子 フリーライター

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すずき りかこ / Rikako Suzuki

TVの番組制作会社勤務などを経て、フリーに。現在は、看護師向けの専門雑誌や企業の健康・医療情報サイトなどを中心に、健康・医療・福祉にかかわる記事を執筆。今はホットヨガにはまり中。汗をかいて代謝がよくなったせいか、長年苦しんでいた花粉症が改善した(個人の見解です)。

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