がんになった緩和ケア医が悟った余命の真実 食べられなくても生きられる時は生きられる
外科主治医による病理検査の結果説明を受けた。私の胃悪性腫瘍は10万人に1人の希少がん、ジストだった。追い打ちをかけたのが、極めて高い腫瘍の悪性度を示す、とてつもない数値だった。
生きる時間に限りがあるという現実を突き付けられた
目を疑った。
通常、がんなどでは、その程度をステージで分類する。ステージⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳという具合に。
一方、ジストではそうではなく、超低リスク群、低リスク群、中リスク群、高リスク群と分類される。リスク高低の分かれ目の拠り所となるものの1つが、顕微鏡で調べた際の腫瘍細胞分裂像数だ。
腫瘍細胞分裂像数とは、腫瘍細胞が分裂する数、すなわち腫瘍ジストの勢いを示すものである。高いか否か、ボーダーラインとなる数は「5」。私のジストは、その腫瘍細胞分裂像数が、なんと「181個」だった。
生きられる時間に限りがあるという現実を突き付けられて、足元から崩れる思いだったが、何とか気を取り直して、腫瘍内科を受診した。これからは腫瘍内科医も主治医に加わってくれる。
今後の治療として、抗がん剤グリベックの治療を開始するという。
3年間、毎日飲み続ける治療である。治療は生易しいものではなく、決して楽でもない。不安は多々あれど、とりあえず今後の治療が定まった。
そして、抗がん剤開始前にCT検査を受けることとなった。
CT検査の結果では、幸いにも転移や再発は見られなかった。
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