前職を短期で辞めた応募者を中途採用する注意点 思い込みは好人材の採用チャンスを逃す
介護の仕事に応募してきたBさんの例をご紹介します。Bさんは介護の仕事の転職を繰り返していたのですが、学卒後最初に就いた仕事は、化粧品会社の「美容部員」でした。
そこで、最初の就職先を詳しく聞くと「もともと他人をきれいにして喜ばれるのは楽しかった。でも営業ノルマが厳しく、ノルマを達成するために、過剰に化粧品を勧める自分に嫌気が差した。結果その仕事から離れた。その後は、なんとなく介護の仕事を転々とした」とのことでした。今なお、美容への興味は高く、知識も豊富でした。
そこで、入社後、施設内の高齢者にお化粧をしたり、施設の女性職員に簡単にお化粧のことを話してもらったりしたところ、これが大ウケ! 本人の興味を活かせ、やりがいを持って仕事を行うよい例です。介護の職場だからといって、「介護」だけが仕事ではないのです。
最初に就いた仕事に「本人のやりがい」のヒントがあります。それを、今の会社に活かせないかを考えるのは、応募者にとって、そして会社にとっても有益なのです。
思い込みは採用の貴重なチャンスを逃す
まず、「短期離職」と言っても、その定義は、会社、業界によって異なります。1、2年で退職すると会社側は短期離職と思いがちです。しかし応募者の前職では、それほど珍しいことではないこともあります。
独立を推奨するような会社だと、5年いたら肩身が狭くなるような社風もあります。履歴書からわかる短期離職のみで、マイナスイメージにしすぎないようにしましょう。
そのうえで、短期離職について考えます。履歴書で短期離職が目立つ場合、会社が気になるのは次の2点でしょう。
・「うちもすぐに辞めてしまうかも」という「定着の課題」
・応募者が仕事を続けられない「仕事への甘さがあるのでは」という疑問
前述の通り短期離職が多いことだけをもって、マイナスイメージとする必要はありません。「仕事が続かない人」という思い込みで不採用にするのは、採用の貴重なチャンスを逃すことになります。
本人に問題があるというより、「これまでの会社」に問題があったのかもしれません。離職してもすぐに再就職できる「優秀な人」なのかもしれません。転職を経験している分だけ「汎用的なスキル」を持っていることもあります。
そこで、「経歴で短い期間での離職がありますが、なぜ短期離職に至りましたか?」と聞いてみましょう。その回答が、「短期離職は自分が至らなかったから」と謙虚さがある方なら問題ないケースが多いです。
逆に「会社が悪い」「上司、同僚など周りが悪い」と他人への攻撃、他の原因があって「私が短期離職に至った」という理由が並ぶようだと、「他力本願」「協調性の欠如」で短期離職を繰り返している可能性が高まります。