東洋経済オンラインでは、毎年、各上場会社の有価証券報告書記載の役員報酬総額と人数を用いて、役員1人当たりの平均報酬額を算出。それらを当該企業の従業員の平均年収と比較して、「年収格差ランキング」を公表している。今回は、2021年8月期~2022年7月期を収集した最新版をまとめたので紹介したい。3月期会社では2021年3月期の値を用いている。
従業員と役員の間に10倍以上の年収格差がある企業は200社、役員の平均報酬額が1億円以上の会社は99社あった。前年調査に比べると、10倍以上の格差の会社が35社、1億円以上の役員報酬の会社も22社増加した。従業員と役員の間の格差は少ないとされている日本でも徐々に収入差が広がっていることがみてとれる。
業績連動報酬の拡大で役員報酬が増加
ランキング1位は、高額報酬企業の常連になっているネクソンだ。「メイプルストーリー」や韓国で展開する「FIFA ONLINE4」などのゲームタイトルが人気作。ネクソンの役員平均報酬の4億6833万円は、従業員平均年収の651万円の約72倍。社内取締役3人のうち2人の報酬が1億円以上で、代表取締役のオーウェン・マホニー氏の役員報酬額は13億100万円となっており、従業員の約200人分の報酬を得た計算になる。代表取締役の植村士朗氏も1億円を上回る報酬を得ていた。
2位は半導体製造装置メーカーの東京エレクトロン。2022年3月期は半導体の設備投資需要の拡大に伴い業績も絶好調、はじめて売上高が2兆円を超えた。年次の業績連動報酬が大きく増加して、役員平均報酬では6億7925万円になった(前回調査では4億4237万円)。従業員平均年収の1285万円と比較すると、約52.8倍となる。取締役のうち5億円以上の報酬を得ているのが7人、代表取締役社長(CEO)の河合利樹氏の報酬は、16億6500万円だった。
3位は武田薬品工業。独自の取締役報酬ポリシーを策定、基本報酬と業績連動の組み合わせで年間賞与を算出している。役員の平均報酬額は5億3840万円になる。代表取締役社長(CEO)のクリストフ・ウェバー氏の役員報酬は18億5800万円で、平均年収1100万円と比較すると約168人
分の年収を得ている計算になる。
今回算出した役員平均報酬は、社内取締役(監査等委員会設置会社の監査等委員を含む)と、執行役の平均額で算出したものだ。報酬額は定額部分と業績連動部分、退職慰労金のすべてを合算した合計額で計算している。算出には監査役設置会社の監査役や社外取締役の報酬額は含んでいない。最新の1年のみを調査しているため、直近年度に取締役の退職が重なると、例年に比べて平均報酬額が上昇する場合がある。
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