日本企業の役員報酬は、一般従業員の年収と比較すると、どれほどの違いがあるのか。東洋経済オンラインでは毎年、各上場会社の有価証券報告書記載の役員報酬総額と役員数を用いて、役員1人当たりの平均報酬額を算出。それらを当該企業の従業員の平均年収と比較して、「年収格差ランキング」を作成している。
今回はその最新版(2020年8月期~2021年7月期を収集したもの)だ。3月期会社では2020年度(2021年3月期)の値を用いている。
従業員と役員の間に10倍以上の年収格差が生じている企業は165社、役員の平均報酬額が1億円以上の会社は77社あった。前年調査に比べると、10倍以上の格差の会社が7社、1億円以上の役員報酬の会社も4社増加した。従業員と役員の間の格差は少ないとされる日本でも、徐々に収入差が広がっていることが見てとれる。
1億円以上の報酬を得る役員が平均報酬額を底上げ
ランキング1位は、東海地域を地盤に携帯電話販売代理店を展開するトーシンホールディングスだった。創業者の石田信文氏の退任に伴い、約10億円の退職慰労金を計上したことで、役員平均の報酬額も引き上げられたために一時的に順位が上がった。
2位はPC向けの配信ゲームを手がけるネクソンで、高額報酬企業の常連だ。中国で人気の「アラド戦記」、韓国でヒットした「メイプルストーリー」などで知られる。ネクソンの役員平均報酬3億2300万円は、従業員平均年収598万円の約54倍。社内取締役3人のうち2人の報酬が1億円以上となっている。代表取締役社長のオーウェン・マホニー氏の役員報酬額は8億8700万円で、従業員の約148人分の報酬を得た計算になる。代表取締役の植村士朗氏も1億円を上回る報酬を得ていた。
3位は武田薬品工業。独自の取締役報酬ポリシーに従い、業績連動と業績連動以外の組み合わせで年間賞与支払い額を算出して決定しているのが特徴だ。従業員の平均給与と比較しない単純な平均報酬額ではトップで、唯一の5億円台となっている。昨年の20億超は下回るものの、依然としてクリストフ・ウェバー社長の役員報酬は18億7400万円と高額で、従業員に換算して約175人分の年収を得ている計算になる。
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