前職を短期で辞めた応募者を中途採用する注意点 思い込みは好人材の採用チャンスを逃す

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また、短期離職が多いことだけをもってマイナスイメージとする必要はありませんが、1社ぐらいは、2年は在籍した会社があったほうがよいでしょう。あまりに短期離職を繰り返すと、転職が癖になっており、定着が難しいかもしれないからです。

余談ですが、短期離職とは逆で、「長く勤務している」様子をプラスイメージに取りすぎて失敗するケースもあります。長期勤務を「忍耐強い」「協調性がある」と考えると判断を誤ります。在職期間が長かったのは、「単に仕事が定型業務で楽だった」「給与・福利厚生など待遇が非常によかった」からかもしれません。前職が公務員や大企業の場合、本人に「中小企業が求める仕事のスキル」がないケースも珍しくありません。

「短期離職が多いから続かない」「長期勤務があるから我慢強い」などと単純に考えず、あくまでも一つの目安にして、応募者をしっかり見るようにしましょう。

応募者と会社の価値観が合っているか

③「退職理由」から、自社に合った人材かがわかる

前職に限らず、退職理由は必ず確認しておきましょう。あなたの会社にそれまでの会社と同じように「退職を誘発しやすい理由」がないかを確認するためです。

「前職の退職理由を差し支えない範囲で教えてもらえますか?」

よくある退職理由は次の通りです。

●給与が何年勤めても上がらず低かった。

●職場での人間関係がうまくいかなかった。

●キャリアアップがしたかった。

●もっと違う分野の仕事がしたいと思った。

●通勤距離が長くて、毎日のことなので疲れてしまった。

例として「給与が何年勤めても上がらず低かった」という退職理由が、応募者から出たとします。あなたの会社が、応募者のそれまでの会社より給与が高ければ、その点について問題はないでしょう。ただ、あなたの会社の給与も高くない場合、何か別の利点でフォローしなければなりません。
「残業がない」「賃金未払残業がない」「休日がしっかり取れる」はウケがよいです。同じ賃金でも、労働時間が少なければ、賃金が上がったのと同じです。「休みは少なくてもいいから、実賃金を増やしたい」という話には、残業代や昇進、インセンティブ(歩合)制度などがあれば、賃金アップが見込めることを伝えましょう。

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また、「人間関係」も退職の理由としてよく挙がります。人間関係は、応募者が重要視するポイントです。あなたの会社が「職場の人間関係」を良好に維持しているような取り組みを、面接官から即座に、そして具体的に答えられると、応募者は安心します。より具体的な人間関係にかかわる話を、会社側からするとよいでしょう。

たとえば、「飲み会が多い/少ない」。飲み会が多いから人間関係がよいとか、少ないから悪いということではありません。最近は、「会社での飲み会はないほうがよい」と思う方も多いのです。ですから、「応募者と会社の価値観が合っているかどうか」を確認するという意味合いです。

他には「社内イベントが多い/少ない」「比較的自由に有給休暇が取得できる(人間関係が悪いと有給休暇は取得しづらい)」なども挙げられます。

あなたの会社の退職者が、あなたの会社を辞めた理由もきちんと確認しておきましょう。そして時々でいいので、退職理由になりそうな要因が自社にないか確認しておきましょう。あなたの会社に退職理由の要因がある場合、改善するか、別の利点を即座に答えられるようにしましょう。

福留 文治 特定社会保険労務士

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ふくどめ ふみはる / Fumiharu Fukudome

特定社会保険労務士。社会保険労務士法人サフィール共同代表。社会福祉法人(介護事業)在職中の平成16年に社労士登録。企業の総務人事を約12年経験。平成25年独立開業。これまで受けた労務相談は1万件超。人事労務管理、採用の現場を知る社労士として法律、制度にとらわれない実務的かつ的確な提案がモットー。採用では、求人原稿の書き方、面接時の質問の仕方など「ことば」「言い方」にこだわった支援を行っている。

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児玉 里美 社会保険労務士

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こだま さとみ / Satomi Kodama

社会保険労務士。社会保険労務士法人サフィール共同代表。塾講師、社労士事務所、労働局勤務などを経て、平成27年に独立開業。300社以上の企業の労務管理や採用支援に携わる。「人事労務は、感覚ではなく仕組みで解決する」を念頭に、ミスマッチが起きない採用支援を行っている。

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