有料会員限定

日の丸半導体新会社、「10年遅れ」を取り戻せるか 経済産業省主導の国策、待ち受ける「茨の道」

✎ 1〜 ✎ 14 ✎ 15 ✎ 16 ✎ 最新
拡大
縮小

特集『半導体 次なる絶頂』の第15回。先端半導体の量産を目指す新会社の設立。最先端の半導体を日米連携で確保する国策がスタートした。

半導体新会社、ラピダスの設立会見
急きょ開かれた会見には、50人以上の記者が集まった(撮影:梅谷秀司)

特集「半導体 次なる絶頂」の他の記事を読む

ニッポン半導体復活の糸口となるか――。

11月12日午後4時、経済産業省のオフィスに程近い虎ノ門の記者会見場で、先端半導体の量産を目指す新会社「Rapidus(ラピダス)」の設立記者会見が開かれた。狭い会見場に50人を超す記者が詰めかけ、急きょ座席が追加されるほどの注目ぶりだった。

ラピダスには、トヨタ自動車、デンソー、ソニーグループ、キオクシア、NTT、NEC、ソフトバンク、三菱UFJ銀行の8社が合計73億円を出資する。さらに、経産省が所管するNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が、700億円を支援する。

世界最先端である「2ナノ」の半導体を2025年までに実現し、2027年にはファウンドリー(製造受託企業)として量産を目指す。社長には半導体メモリー大手のウエスタンデジタルジャパン元社長の小池淳義氏、会長には半導体製造装置大手・東京エレクトロン元社長の東哲郎氏が就く。

東氏は、政府の「半導体・デジタル産業戦略検討会議(半デジ会議)」の座長で、小池氏もその中心メンバーだ。半デジ会議は経産省の主導で2021年3月から6回開かれ、半導体やIT産業の事業者、学者らが、日本の半導体産業の再興策を話し合っている。

次ページアメリカと一致した危機感
関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
半導体 次なる絶頂
市況回復を見据えて「10年で10兆円を投資」
TSMCの魏哲家CEOの発言は世界中の注目の的だ
自動車向、家電向けでの不足はしばらく続く
偽物や不良品をつかまされるリスクが大きい
回路設計者の人材がますます必要になっていく
普段はまったく意識しないものの、意外と身近な存在
ニュースでも頻出する用語をわかりやすく解説
2030年までに売り上げを2倍強にする方針も
主戦場のメモリーは投資競争が熾烈を極める
覇権を握るカギは「大口径化」と「SiC」にある
新技術「3次元実装」は世界のTSMCも日本を頼る
TSMC熊本誘致は半導体産業の復活を図る第一手
自民党「半導体議連」の甘利明会長が大胆提言
無策なら日本の半導体シェアは「ゼロ」になる?
経済産業省主導の国策、待ち受ける「茨の道」
TSMCが日本に第2工場検討、「熱狂の地」はどこに
1カ所目・熊本への経済効果は10年で4.3兆円
国策半導体ラピダスにIBM幹部が持ちかけた提案
脱クルマ依存がカギ、株式上場も視野に入れる
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
オンセミ新潟工場を投資ファンドが買収
半導体「国策しくじり物語」から学ぶ4つの教訓
国家プロジェクトが林立した2000年代の失敗
元通産官僚が率いる「半導体ファブレス」の勝算
5ナノなど最先端品で気を吐く唯一の日本勢
実用化に向けて準備が進む「ナノインプリント」
市況の山谷にあわせた人員調整から脱却する
政府主導の株式非公開化ではないと断言
リョーサンとの統合を決めた中村社長に聞く
菱洋エレクトロとの統合を決めた稲葉社長
市況の波にのまれず「メンテナンス技術」を継承
STマイクロ、インフィニオン、ウルフの各戦略
インフィニオンの車載半導体トップに直撃
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内