特集『半導体 次なる絶頂』の第8回。国内半導体大手・ルネサスエレクトロニクスが赤字に苦しんでいた姿はもはや過去のもの。買収企業から取り入れた「欧米流」で大きく変貌している。

柱の製品であるマイコンは自動車や多くの家電に使われる(写真:ルネサスエレクトロニクス)
「2030年までに時価総額を現在の6倍に引き上げたい」──。
国内半導体大手・ルネサスエレクトロニクスは9月29日、投資家向けに中長期施策の説明会を開いた。柴田英利社長がぶち上げたのが、「2030 ASP(アスピ)IRATION(レーション)」という目標。時価総額6倍はその1つだ。
ルネサスの時価総額は足元で約2.4兆円。それが14兆~15兆円になると、NTTやソニーグループなどに並び、国内ではトヨタ自動車に次ぐ2番手グループに入る。アスピレーションの意味のとおり野心的な数字だ。
ルネサスは自動車を制御するマイコンで世界首位級のメーカー。近年は産業機器やIoT機器向けにも力を入れる。14年3月期までは事業モデルの変革の遅れや東日本大震災の被害などから、9期連続の最終赤字と、もがき苦しんでいた。官民ファンドのINCJ(旧産業革新機構)が最大時で69.2%のルネサス株を持つなど、救済を受けた時期もある。かつての姿から一変したのはなぜか。
買収を通じて「アメリカ流」を移植
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