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「半導体工場の黒子」知る人ぞ知るキヤノンMJ 市況の波にのまれず「メンテナンス技術」を継承

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半導体関連事業が縮小・廃止の憂き目にあわなかったキヤノンの子会社。結果、半導体工場が頼りとする存在となった。

半導体工場の今昔
写真の左は2022年竣工の半導体メモリー大手・キオクシアの四日市工場第7製造棟、右は1983年撮影のNECの半導体製造工場。この30年で半導体工場の現場や関連する企業の顔ぶれは大きく変わった(左写真:キオクシア、右写真:Fujifotos/アフロ)

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キヤノンの販売子会社、キヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)。複合機関連サービスや中小企業向けITサービスを手がける会社とのイメージが強いが、実は日本の半導体業界を影で支える「黒子的」な存在だ。

業界で知る人ぞ知る存在なのが、同社の「産業機器事業部」。半導体製造装置に詳しい約170人の技術者が所属する。主な事業は全国の半導体工場で使われている装置のメンテナンスだ。装置の不調時に駆けつけるだけでなく、大きな工場の場合は技術者が常駐してメンテナンス業務に当たる。

製造効率が競争力に直結する半導体製造において、稼働率の低下は致命的な問題だ。トラブルで装置が少しの間止まるだけでも何億円もの損失につながりかねない。顧客からすると技術者に常駐してもらうことで、急な装置の不調にすぐに対応してもらえる。

加えて、キヤノンMJは、半導体工場の生産ライン造りや装置選定に関するアドバイスを行う。装置の仕入れ代行や納品時のバリ取りなども請け負う。端的にいえば装置商社なのだが、手がけるサービスの幅は広い。

同業の多くが事業をやめた

産業機器事業部の売り上げは、産業分野向けに独自のサービスを展開する「プロフェッショナル」セグメントの3~4割。全社売り上げでみると、その2~3%と小さい。

しかし、大場康久・産業機器事業部長は売上高規模だけでは測れない事業の重要性を語る。「同業他社の多くは事業をやめてしまった。われわれは非常にユニークなポジションだ」(大場部長)

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