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「SiCパワー半導体」トップ3社にみる日本勢の活路 STマイクロ、インフィニオン、ウルフの各戦略

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パワー半導体の競争の場は次世代品に移りつつある。そのSiCパワー半導体でシェア上位を占める海外勢の特徴を探ってみた。

SiCのインゴット
左写真はSiCのインゴット。一般的なものは直径15センチ、長さ5~10センチ程度とパンケーキのような形だ。メートル単位で精製でき、長い筒状であるシリコンのインゴットとは大きく異なる。右写真はインゴットを薄くスライスして造るSiCウェハー(写真:STマイクロエレクトロニクス)

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ダイヤモンドに次ぐほどの硬度を誇る炭化ケイ素(SiC)。シリコン(Si)と炭素(C)が強固に結合した化合物だ。電圧の調整や電力の変換に用いられる「パワー半導体」では、このSiCが次世代の材料として注目されている。

材料となるインゴット(単結晶の塊)は、現在主流の半導体材料であるシリコンのものより長さが短い。パンケーキのような形をしているが非常に硬く、ウェハー(基板)にするために薄くスライスし表面加工する際の難易度が高い。

インゴットの精製にかかる時間も、シリコンに比べると段違いに長い。このように手間のかかる材料を用いるSiCパワー半導体が、電気自動車(EV)で採用が進んでいる。

EVのバッテリー周辺で採用

EVはバッテリーに貯めた電気だけで走るため、少しでも電力を無駄にしない構造が求められる。また、従来のEVには充電時間が長いという課題があった。SiCパワー半導体は、これらを解決するものとして、EVのバッテリー周辺に採用されている。

シリコンでできた従来のパワー半導体よりも、電力を流したり止めたりする際のスピードが速く、スイッチングによる電力ロスを減らせる。耐熱性や耐電圧性も優れており、バッテリーの急速充電が可能になる。

SiCパワー半導体自体は技術的に新しいものではない。1990年代からメーカー各社が細々と研究開発をしてきた。しかし、材料の価格が高いこと、欠陥率が高かったことなどからなかなか普及しなかった。その流れをEVの普及が変えた。

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