新潟県で、パワー半導体の勢力図に一石を投じる動きが始まった。
新潟県長岡駅から車で雪道を走ること約30分。信濃川のほとりに巨大な工場が見えてくる。その広さは16万平方メートル。東京ドーム3.5個分にもなる。
「まずはこちらに着替えてください」。そう言って手渡されたのは、全身を覆う防塵服だ。外部のほこりを工場内に持ち込まないように、徹底した管理をしていることがよくわかる。
ほこりを落とすための風を浴びながら工場内に入ると、真っ白な装束に全身を包んだ作業員たちが、ズラリと並べられた装置の間を行き来している。装置の中には、何やら丸い形をした板があり、ある装置は板に熱を加え、ある装置は板に薬品を塗っていることがわかる。
この丸い板の正体は半導体の材料となるシリコンウエハ。工場を運営しているのは、半導体を受託製造するファウンドリーの新会社「JSファンダリ」だ。
この工場はかつて、アメリカの半導体大手オン・セミコンダクター(オンセミ)の新潟工場だった。固定費削減の一環で売却されたこの工場を日本政策投資銀行や伊藤忠商事が出資するマーキュリアホールディングス(HD)の中核子会社などが2022年12月に買収。JSファンダリを立ち上げて、ファウンドリービジネスをスタートした。
国や新潟県もこの取り組みを後押し。補助金57億円を交付する見通しだ。
幻と消えた「合従軍」構想
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