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JSR社長「半導体材料の再編の主体はわれわれだ」 政府主導の株式非公開化ではないと断言

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半導体材料のフォトレジストで世界大手のJSRが株式非公開化の道を選んだ。この経営判断はどのような状況分析を基に行われたのか。

JSRジョンソン社長
JSRのジョンソン社長は、これまで他社に再編の話を持ちかけたことはあったが「抵抗や躊躇」を示されたと語った(撮影:尾形文繁)

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政府系ファンドの後ろ盾を得て株式を非公開した後に業界再編を仕掛ける――。6月26日、半導体材料であるフォトレジストの大手・JSRがそのような方針を発表した。
政府系ファンドである産業革新投資機構(JIC)が新会社を設立、およそ9000億円で東証プライム市場に上場するJSR株のTOB(株式公開買い付け)を行う。企業価値を向上させた5〜7年後に再上場を見込むが、TOB後にJSRはいったん上場廃止となる。
JSRの業績は堅調そのもの。しかも半導体材料は中長期的に拡大していく市場だ。非公開化する必要はどこにあるのか。JSRのエリック・ジョンソン社長を直撃した。

 

――株式を非公開化し半導体材料業界の再編を目指すとしました。今回の決定以前に、どこかの会社に再編をオファーしたことは?

今までも他社とざっくりとした議論をしてきたことはある。具体的な企業の名前は出せないが、この業界で再編の必要があると思っているのは何もわれわれだけではない。

だが、議論の段階では建設的な話ができるものの、それを具体的に何か提携やM&A(合併・買収)に落とし込む段階になると、(他社には)抵抗や躊躇があった。

これはあくまで個人的な感覚だが、われわれの株主構成の問題があったのだと思う。外国人保有比率が50%以上だったことが、躊躇を生む原因になっていたのではないか。その点、JICは株主としては中立的だ。再編を進めるうえで非常に強力なバックアップになる。

もう1つは“慣性”の問題だ。業界内のどのメーカーも足元の業績は非常にいい。「なぜ調子がいい時にM&Aのような大げさなことをしなければいけないのか、もうちょっと待とう」という感覚が業界の中にはあった。

長期志向の株主のもとで投資が柔軟に

――なぜ非公開化までする必要があるのでしょうか。

JICのような長期投資を前提とした株主に一本化されることで、再編を含めて柔軟な投資が可能になるというのが大きい。

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