国策半導体ラピダスにIBM幹部が持ちかけた提案 脱クルマ依存がカギ、株式上場も視野に入れる

✎ 1〜 ✎ 16 ✎ 17 ✎ 18 ✎ 最新
拡大
縮小

国の全面支援の元、半導体新会社のラピダスが船出した。最先端半導体の製造技術の確立や採算の取れるビジネスモデルの構築など、乗り越えるべきハードルは多い。

ラピダスの会見
国策半導体企業ラピダスはアメリカのIBMと組んで先端半導体製造に挑戦する(撮影:尾形文繁)

特集「半導体 次なる絶頂」の他の記事を読む

勤務地は東京都千代田区、またはアメリカニューヨーク州(Albany)。月給27万1000円以上――。

転職情報サイトにそう掲載されているのは、新会社「Rapidus(ラピダス)」の求人だ。日本の半導体産業の復活に向けて2022年8月に設立された。

2月28日には、北海道千歳市に先端半導体の工場を建設予定だと発表した。小池淳義社長は「水、電力等のインフラに加えて、自然環境との調和においても、半導体の生産に最適だ」とメリットを示す。2月16日には北海道の鈴木直道知事がラピダス本社を訪問し、製造拠点を誘致するためにトップセールスを行っていた。

千歳市には、小池氏がかつて勤めた日立製作所の半導体部門が2004年まで工場を構えていた(現在はミツミ電機の工場として操業)。小池氏にとってもなじみ深く、サプライヤーがそろっている。

ラピダスは日本が製造技術を持たない回路線幅が2ナノ(ナノは10億分の1)の最先端半導体を2025年までに実現し、2027年にはファウンドリー(製造受託企業)として量産を目指す。トヨタ自動車やソニーグループなど8社が出資し、経済産業省の所管するNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)も700億円の支援をする。

次ページ製造能力で見劣りするアメリカ
関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本製鉄、あえて「高炉の新設」を選択した事情
日本製鉄、あえて「高炉の新設」を選択した事情
ヤマト、EC宅配増でも連続減益の悩ましい事情
ヤマト、EC宅配増でも連続減益の悩ましい事情
倒産急増か「外食ゾンビ企業」がついに迎える危機
倒産急増か「外食ゾンビ企業」がついに迎える危機
Netflixが日本での「アニメ製作」を減らす事情
Netflixが日本での「アニメ製作」を減らす事情
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
半導体 次なる絶頂
市況回復を見据えて「10年で10兆円を投資」
TSMCの魏哲家CEOの発言は世界中の注目の的だ
自動車向、家電向けでの不足はしばらく続く
偽物や不良品をつかまされるリスクが大きい
回路設計者の人材がますます必要になっていく
普段はまったく意識しないものの、意外と身近な存在
ニュースでも頻出する用語をわかりやすく解説
2030年までに売り上げを2倍強にする方針も
主戦場のメモリーは投資競争が熾烈を極める
覇権を握るカギは「大口径化」と「SiC」にある
新技術「3次元実装」は世界のTSMCも日本を頼る
TSMC熊本誘致は半導体産業の復活を図る第一手
自民党「半導体議連」の甘利明会長が大胆提言
無策なら日本の半導体シェアは「ゼロ」になる?
経済産業省主導の国策、待ち受ける「茨の道」
TSMCが日本に第2工場検討、「熱狂の地」はどこに
1カ所目・熊本への経済効果は10年で4.3兆円
国策半導体ラピダスにIBM幹部が持ちかけた提案
脱クルマ依存がカギ、株式上場も視野に入れる
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
オンセミ新潟工場を投資ファンドが買収
半導体「国策しくじり物語」から学ぶ4つの教訓
国家プロジェクトが林立した2000年代の失敗
元通産官僚が率いる「半導体ファブレス」の勝算
5ナノなど最先端品で気を吐く唯一の日本勢
実用化に向けて準備が進む「ナノインプリント」
トレンドウォッチAD
  • 新刊
  • ランキング
東洋経済education×ICT
有料会員登録のご案内