国策半導体ラピダスにIBM幹部が持ちかけた提案 脱クルマ依存がカギ、株式上場も視野に入れる

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国の全面支援の元、半導体新会社のラピダスが船出した。最先端半導体の製造技術の確立や採算の取れるビジネスモデルの構築など、乗り越えるべきハードルは多い。

ラピダスの会見
国策半導体企業ラピダスはアメリカのIBMと組んで先端半導体製造に挑戦する(撮影:尾形文繁)

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勤務地は東京都千代田区、またはアメリカニューヨーク州(Albany)。月給27万1000円以上――。

転職情報サイトにそう掲載されているのは、新会社「Rapidus(ラピダス)」の求人だ。日本の半導体産業の復活に向けて2022年8月に設立された。

2月28日には、北海道千歳市に先端半導体の工場を建設予定だと発表した。小池淳義社長は「水、電力等のインフラに加えて、自然環境との調和においても、半導体の生産に最適だ」とメリットを示す。2月16日には北海道の鈴木直道知事がラピダス本社を訪問し、製造拠点を誘致するためにトップセールスを行っていた。

千歳市には、小池氏がかつて勤めた日立製作所の半導体部門が2004年まで工場を構えていた(現在はミツミ電機の工場として操業)。小池氏にとってもなじみ深く、サプライヤーがそろっている。

ラピダスは日本が製造技術を持たない回路線幅が2ナノ(ナノは10億分の1)の最先端半導体を2025年までに実現し、2027年にはファウンドリー(製造受託企業)として量産を目指す。トヨタ自動車やソニーグループなど8社が出資し、経済産業省の所管するNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)も700億円の支援をする。

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