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成長鈍化も、半導体業界は「次の山」へ積極投資 自動車向け需要が牽引役に、国策新会社も始動

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2022年、供給不足に陥りながらも活況を見せた半導体市場。2023年は4年ぶりのマイナス成長と市場は冷え込みそうだが、次の好況を見据えた投資が活発化している。

握手をする東哲郎元会長と小池氏
東京エレクトロンの東哲郎元会長(右)と小池氏がラピダスを率いる(撮影:梅谷秀司)

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関心は次の山に

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「顧客は皆、目先の市況の話をほとんどしない。長期的に進める増産計画とそれに必要な材料供給の話をする」

半導体を造る基盤となるシリコンウェハーの最大手、信越化学工業の斉藤恭彦社長が2022年10月末の決算説明会で投資家相手に語った言葉だ。この言葉が半導体市場の今を端的に表している。すなわち、足元で「シリコンサイクル」はピークを越えて下り坂の一方、業界の関心はいつか迎える次の山に早くも向かっている。

目先の話をすると、2023年の半導体市場は冷え込みそうだ。

テレワークや巣ごもりで急拡大した半導体需要は一服。中国のロックダウンやロシアのウクライナ侵攻がサプライチェーンを混乱させたことで生じた在庫確保も収束している。新型コロナウイルス禍を引き金に2年近く続いた未曾有の活況は幕を閉じた。世界半導体市場統計(WSTS)が2022年11月に出した予測によると、2023年の世界半導体市場は前年比4.1%減と、2019年以来4年ぶりのマイナス成長が見込まれる。

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