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柳井氏が指摘、日本で賃上げが進まない根本理由 「自分たち都合の付加価値」に傾倒していないか

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学者、文化人、そして経営者。世界と日本の知性は、未来をどう展望するのか。「2023年大予測」特集のインタビューシリーズから抜粋。

ファーストリテイリング会長兼社長 柳井正氏
一部商品の値上げに踏み切っている背景には、柳井氏のどんな考えがあるのか(撮影:今井康一)

特集「2023大予測|スペシャルインタビュー」の他の記事を読む

ウクライナ、気候変動、インフレ……。混迷を極める世界はどこへ向かうのか。12月19日発売の『週刊東洋経済』12月24-31日号では「2023年大予測」を特集(アマゾンでの購入はこちら)。世界と日本の政治・経済から、産業・業界、スポーツ・エンタメまで108のテーマについて、今後の展開とベスト・ワーストシナリオを徹底解説する。この記事は本特集内にも収録しています。

コロナ禍からの経済回復の途上で、原材料高や円安が進み、国内の物価上昇が一般消費者の生活を圧迫している。低価格衣料チェーン「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長に日本企業の今後の課題を聞いた。

日本の中だけでは将来はない

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──今の日本の問題点を挙げるとすればどんな点でしょうか。

日本の財政は国債頼みで、いってみれば国の財産だけではなく民間の財産を担保に国が借金をして、それを分配している状況だ。これだけ借金して持った国はない。

こういうときこそ企業や個人がしっかりしないといけない。日本だけで考えず、世界の中の日本として、日本が成長する政策をやってくれる政治家を選ばないといけない。でもそういう政治家はいない。みんな分配の話しかしない。

国に頼ることはもうやめよう。カネを分配してもらうのではなく、日本企業が世界で稼ごうと思わないと。世界には簡単に出られる。とくに中小企業や零細企業。日本だけで考えないほうがいい。日本の中だけでは将来はない。

──急速に円安が進んでいますが、柳井会長は以前から円安に否定的な発言をしています。

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