伊藤忠がアクセンチュアに「異業種戦」を挑む理由 広告世界最大手と合弁コンサル会社を設立へ

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あの伊藤忠商事がコンサルティングや広告の世界に手を広げている。そこには旧来型の総合商社とは異なる姿があった。

伊藤忠商事が広告代理店で世界最大手のイギリス・WPPグループと組み、「顧客体験」のコンサルティング会社を合弁で設立する(上写真撮影:梅谷秀司、下写真:WPP)

伊藤忠商事の競合が、同業の総合商社ではなく、コンサルティング会社や広告会社にまで広がろうとしている。同社は9月にも、広告代理店で世界最大手のイギリス・WPPグループと合弁で、「顧客体験デザイン」と呼ばれる分野のコンサルティング会社を設立する。

新会社には伊藤忠と、傘下のシステム開発大手・伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、そしてWPP傘下で顧客体験のコンサルを手がけるAKQA社が出資する。伊藤忠グループとAKQAの折半出資となる見込みだ。

AKQAはイギリス・ロンドンに本社を置き、世界50カ国100拠点に6000人の従業員を抱える。同社は、クライアントがその顧客(ユーザー)に提供する体験を分析し、必要なテクノロジーを洗い出す。そのうえで新製品のコンセプトや市場投入までの計画を定め、アプリケーションの開発やデザインなど実装まで手がけるという。

顧客にはナイキやP&G、デルタ航空

AKQAのクライアントの面々には、アメリカのスポーツブランド・ナイキや日用品大手のP&G、航空大手のデルタ航空、通信大手のベライゾン、スウェーデンのアパレル大手H&Mや自動車大手ボルボ・カーなどが並ぶ。

AKQAはアメリカのナイキが展開するフィットネスアプリ「NIKE Training Club」の企画・開発を支援。ナイキと消費者の継続的な接点を作った(写真:AKQA)

企業が価格競争に巻き込まれないためには、提供する製品やサービスに触れた際の体験を磨いて満足度を上げ、多くのファンを作る必要がある。さらにユーザーとの接点がアプリやウェブなどデジタルになる中で、AKQAはさまざまな大企業が頼る存在になっている。

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