全4回の特集「ブランドの新・覇者 ABGの正体」の第1回。アメリカのファンド、ABGの下で再建したFOREVER21が日本へ再上陸する。名門ブランドを多数傘下に持つファンドの知られざる経営の実態とは。
渋谷のスクランブル交差点からセンター街へ進むと目に飛び込んでくる、黄色の“F21”の文字。今はなき、アメリカ・ロサンゼルス発の「FOREVER 21(フォーエバー21)」の看板を覚えている人も多いだろう。
2009年の上陸後、ファストファッションブームを巻き起こしたが、アメリカ本社の経営破綻を受けて2019年10月に日本から完全撤退。あれから3年が過ぎたこの秋、フォーエバー21が2023年春に再上陸するというニュースが全国を駆け巡った。
2010年代前半に急成長を遂げたフォーエバー21は、創業家一族による過度な拡大戦略が裏目に出て、経営難に陥った。過剰在庫や世界各地の一等地に出した大型店の家賃負担がのしかかり、本国では2019年9月に日本の民事再生法にあたる連邦破産法(チャプター11)の適用を申請した。
そんな同社を救ったのが、アメリカのファンド「オーセンティック・ブランズ・グループ(以下、ABG)」だ。2010年に創業、経営破綻したアパレルブランドなどを続々と傘下に収めており、2020年2月に投資会社などと共同でフォーエバー21を買収した。
長期保有が前提、収益の8割がロイヤルティー
ABGは日本での知名度こそ低いものの、これまで買収してきたブランドの顔ぶれは実に華やかだ。名門セレクトショップ「バーニーズ・ニューヨーク」や紳士服の老舗「ブルックスブラザーズ」、アディダスが手放したスポーツブランドの「リーボック」など、約50のブランドを傘下に持つ。
「強力なブランドイメージや歴史を持っているかが重要だ。長期保有を前提に、買収後の成長を重視している」。ABGで日本市場を担当するケビン・サルター氏は、ブランド買収で重視しているポイントをそう明かす。
フォーエバー21を再上陸へと導いたABG流の再生術は、いったいどんなものなのか。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
東洋経済ID 会員特典
東洋経済IDにご登録いただくと、無料会員限定記事を閲覧できるほか、記事のブックマークや著者フォロー機能、キャンペーン応募などの会員限定機能や特典をご利用いただけます。
東洋経済IDについての詳細はこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら