大手アパレルが「実質身売り」に懸けた本当の理由 「アース」展開のストライプがファンド傘下に
かつて「第2のユニクロ」とも目されたストライプインターナショナル。2020年に社長を辞任した創業者の石川氏に、保有株をファンドに売却した舞台裏を直撃した。
「長らくのご愛顧、深く感謝申し上げます」――。
3月末、あるアパレル企業が運営するファッションECモールがひっそりと姿を消した。
「アース ミュージック&エコロジー」などの手頃な女性向けアパレルブランドを多数展開する、ストライプインターナショナル(以下、ストライプ)。同社子会社が運営するECモール「ストライプデパートメント」が2月に販売を終了し、3月をもってサイトを閉鎖した。
ストライプデパートメントは、ストライプ創業者の石川康晴氏が「日本一のファッションECを作っていく」と大々的に宣言し、2018年にソフトバンクと共同で立ち上げた。しかし売り上げは想定を下回り苦戦していた。
業界の風雲児が直面した窮地
創業者肝煎りの事業の撤退と同じタイミングで、ストライプの経営は大きな転機を迎えていた。
同社は3月中旬、国内投資ファンドのティーキャピタルパートナーズからの出資を受け入れたと発表。ティーキャピタルは特別目的会社(SPC)を新設し、84%を保有していた石川氏の株式を含む、ストライプの全株を買い取った。その後石川氏はSPCに再出資して25%の株式を取得、残り75%をファンドらが保有している。
「断腸の思いで、大部分の株を引き渡す決断をした」。石川氏は東洋経済の取材に対し、会社をファンドに売却した胸中をそう明かす。
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