出店ブランドも市場関係者も疑心暗鬼だったカリスマ創業者からの世代交代。復活の裏側でどんな紆余曲折があったのか。
「1000万人というのはうれしいが、これを目標にしてきたわけではない」
1月末に開かれたZOZOの2021年度第3四半期決算会見。澤田宏太郎社長は、アナリストからの質問にそう静かに語った。
2021年12月、ZOZOが運営する国内最大のファッションEC(ネット通販)サイト「ゾゾタウン」の年間購入者数が1000万人に初めて到達した。過去1年以内に買い物をした会員とゲスト(会員未登録者)購入件数の合計は約1010万と、1年前から10.5%伸びた。
前澤時代より「今のほうが怖い」
大台を超えた心境を問われても冷静だったトップとは対照的に、最古参役員でもある栁澤孝旨副社長兼CFO(最高財務責任者)は「1つの目安だった数字を達成できたことは感慨深い」と胸の内を明かす。
「商品取扱高5000億円」――。創業者で前社長の前澤友作氏の下、ZOZOが約10年前に掲げた中長期ビジョンだ。会員の年間平均購入金額が5万円近くあった当時、社内では「1000万人に買ってもらえば達成できる」と話していた。2021年度の商品取扱高は4728億円を見込み、到達間近となった。
前澤氏が電撃退任したおよそ2年半前、ZOZOは新事業の失敗などにより収益力が大きく落ち込んだ。「前澤さんのときより、正攻法を着々と打つ今のほうが正直怖い」。あるECプラットフォーマーの幹部は、様変わりしたライバルをそう評する。実際、ZOZOは今期過去最高益を更新する見通しだ。
カリスマなきZOZOは、戦い方をどう変えたのか。
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