ABG、急成長する新たな「ブランド覇者」の稼ぎ方 ライセンス展開を軸に「持たざる経営」で頭角

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 5
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

全4回の特集「ブランドの新・覇者 ABGの正体」の第2回。経営不振に陥った名門ブランドを買収して拡大を続ける、アメリカのファンド・ABG。急成長する“再生屋”の高収益体質の秘密はどこにあるのか。

ABGは積極的な買収により、50近くのブランドを傘下に持つ。急成長を遂げた独自のビジネスモデルの強みはどこにあるのか(画像:ABGの公式サイトより)

特集「ブランドの新・覇者 ABGの正体」の他の記事を読む

2022年に入って早々、アメリカでは大型IPO(新規上場)の計画がひっそりと撤回されていた。

その会社は、オーセンティック・ブランズ・グループ(Authentic Brands Group、以下ABG)。経営破綻した名門ブランドなどを次々と買収し、成長を続けるニューヨークの投資ファンドだ。

ABGは2021年7月にニューヨーク証券取引所へ上場を申請した。目論見書では、IPOによる調達額を1億ドル(約140億円)と見積もったのに対し、海外メディアは市場での評価額が100億ドル(約1.4兆円)に達する可能性もあると報じていた。

しかしその4カ月後の11月、ABGはヨーロッパに拠点を置く投資ファンド、CVCキャピタル・パートナーズなどから127億ドル(約1.8兆円)を調達することで合意したと発表。創業者であるジェイミー・サルターCEOは現地メディアの取材に、株式上場は2023~2024年に延期するとコメントし、2022年1月にIPO計画の撤回を正式に申し入れた。

小売りベースの売上高は3兆円規模

ABGは2010年、スポーツ用品の小売り・製造や金融ファンドなどでキャリアを積んだジェイミー・サルター氏によって創業された。創業10年余りで実現した巨額の資金調達は、同社が築き上げたビジネスモデルの将来性が評価された証拠と言えるだろう。

実際、その成長ぶりは目覚ましい。ABGの収益は2014年に1億ドルの大台を突破。その後も右肩上がりで成長し、2020年には4.9億ドル(約690億円)にまで拡大した。保有するブランドの2021年の小売りベースでの売上高は、200億ドル(約2.8兆円)を大きく上回る。

次ページ利益の大半はロイヤルティーから
関連記事
トピックボードAD