有料会員限定

パンデミック後のカギは「民主主義を守れるか」だ ジャレド・ダイアモンド氏が抱く「深刻な懸念」

✎ 1〜 ✎ 8 ✎ 9 ✎ 10 ✎ 最新
拡大
縮小

学者、文化人、そして経営者。世界と日本の知性は、未来をどう展望するのか。「2023年大予測」特集のインタビューシリーズから抜粋。

生物学者 ジャレド・ダイアモンド氏
ジャレド・ダイアモンド(Jared Diamond)/生物学者。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)地理学教授。1937年生まれ。米ハーバード大学で生物学、英ケンブリッジ大学で生理学を修める。研究領域は進化生物学、生物地理学、人類生態学へと発展。ベストセラー『銃・病原菌・鉄』でピュリツァー賞受賞。(撮影:大野和基)

特集「2023大予測|スペシャルインタビュー」の他の記事を読む

ウクライナ、気候変動、インフレ……。混迷を極める世界はどこへ向かうのか。12月19日発売の『週刊東洋経済』12月24-31日号では「2023年大予測」を特集(アマゾンでの購入はこちら)。世界と日本の政治・経済から、産業・業界、スポーツ・エンタメまで108のテーマについて、今後の展開とベスト・ワーストシナリオを徹底解説する。この記事は本特集内にも収録しています。

世界的な生物学者で、大ベストセラーとなった『銃・病原菌・鉄』でピュリツァー賞を受賞しているのがジャレド・ダイアモンド氏だ。ダイアモンド氏に「パンデミックの教訓」について聞いた。

用意周到だったフィンランド

週刊東洋経済 2022年12/24-12/31【新春合併特大号】(2023年大予測 108のテーマで混沌の時代を完全解明!)
『週刊東洋経済 2022年12/24-12/31【新春合併特大号】(2023年大予測 108のテーマで混沌の時代を完全解明!)』(東洋経済新報社)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──パンデミックに続き、ウクライナ戦争が起きました。

パンデミックは終息したとはとても言えないが、感染症が地球上からなくなることはない。まず住んでいる国、地域に関係なく、パンデミックから学ぶべき教訓は何かを考えなければならない。

教訓は2つあると思う。1つはフィンランドのようになれ。スウェーデンとともにNATO(北大西洋条約機構)加盟を発表したのは、賢明な決定だ。

フィンランド人は歴史から学ぶ国民であり、フィンランドの政府委員会のメンバーである私の友人は、「われわれはうまくいきそうにないすべてのことを予測し、それに対して備えることを対ソ戦争から学んだ。だから政府委員会を設置し、うまくいきそうにないことを洗いざらい出し合って、最悪のシナリオに備える」と話していた。

例えば、配電網が切断されたら何が起きるのかを予測する。ロシアは先の戦争でフィンランドの配電網の10%をカットしたが、フィンランドはすでにそのシナリオに対して備えがあったのでパニックにならなかった。

次ページグローバルな解決が必要な問題は山積
関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
2023大予測|スペシャルインタビュー
異分子として現場に入り、育成を「発火」させる
短期的見方からは悲観的な考えしか生まれない
東京大学・渡辺努氏「賃上げ5%は実現できる」
哲学者・國分功一郎「ゆっくり思考する時間必要」
「自分たち都合の付加価値」に傾倒していないか
戦争終結には我々が言葉を発していくしかない
米CNNホスト、ファリード・ザカリア氏に聞く
「FRBの過度の利上げは世界金融危機を招く」
ジャレド・ダイアモンド氏が抱く「深刻な懸念」
日本発条名誉会長、日翔会会長 玉村氏が語る
企業のシステム投資加速で5年先までは堅い
三菱UFJFG亀澤宏規社長が目指す意識改革
野村ホールディングス トップが語る成長戦略
侍ジャパンチーム監督・栗山英樹インタビュー
居酒屋はコロナ前の7割が常態化、優勝劣敗が加速
国際線専門LCC、ZIPAIR Tokyo西田社長に聞く
水素など新エネルギーの社会実装を試していく
量より質、高付加価値に見合う価値を求める
働き方は「未来起点」から「現在起点」に変化した
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内