学者、文化人、そして経営者。世界と日本の知性は、未来をどう展望するのか。「2023年大予測」特集のインタビューシリーズから抜粋。
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「コロナ禍以前の世界に完全に戻ることはない」と語る、ノーベル賞受賞経済学者のジョセフ・スティグリッツ教授。
インフレやウクライナ戦争、コロナ禍、景気後退リスク。米コロンビア大学教授の同氏が、不確実性に満ちた2023年を予測する。
世界経済の回復は不十分
──米国経済の現状をどうみますか。教授は22年秋、米CNBCの取材に対し、「利上げは、インフレの主因であるサプライサイド(供給側)の障害を解消しない」という指摘をしています。
今回のインフレは、通常のインフレと違い、「過剰需要」が要因ではないからだ。米国経済の総需要は、総供給力を意味する「潜在GDP(国内総生産)」を超過していない。サプライサイドの障害に端を発したインフレだ。
まず、半導体不足で、自動車価格が高騰。そして、コロナ禍での住居の移動で、需要増の地域で家賃が高騰した。つまり、利上げをしても、原油や食料の不足は解消されない。むしろ、利上げにより、サプライサイドの不足を解消するための投資が難しくなる。
企業も短期的な利益を求め、値上げに走る。値上げによる顧客離れで長期的には減益になるとしても、だ。利上げは短期的行動とインフレを誘発しかねない。
──米連邦準備理事会(FRB)は今後、利上げのペースを落とすようです。
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