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経済学者・スティグリッツ教授が予測する2023年 「FRBの過度の利上げは世界金融危機を招く」

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学者、文化人、そして経営者。世界と日本の知性は、未来をどう展望するのか。「2023年大予測」特集のインタビューシリーズから抜粋。

経済学者 ジョセフ・スティグリッツ氏
ジョセフ・スティグリッツ(Joseph Stiglitz)/経済学者。米コロンビア大学教授。経営大学院などで教える。2001年ノーベル経済学賞受賞。1995〜97年、クリントン政権の大統領経済諮問委員会(CEA)委員長。97〜00年、世界銀行上級副総裁・首席エコノミスト。著書に『世界の99%を貧困にする経済』(徳間書店)など (撮影:Ian DiSalvo)

特集「2023大予測|スペシャルインタビュー」の他の記事を読む

ウクライナ、気候変動、インフレ……。混迷を極める世界はどこへ向かうのか。12月19日発売の『週刊東洋経済』12月24-31日号では「2023年大予測」を特集(アマゾンでの購入はこちら)。世界と日本の政治・経済から、産業・業界、スポーツ・エンタメまで108のテーマについて、今後の展開とベスト・ワーストシナリオを徹底解説する。この記事は本特集内にも収録しています。

「コロナ禍以前の世界に完全に戻ることはない」と語る、ノーベル賞受賞経済学者のジョセフ・スティグリッツ教授。

インフレやウクライナ戦争、コロナ禍、景気後退リスク。米コロンビア大学教授の同氏が、不確実性に満ちた2023年を予測する。

世界経済の回復は不十分

週刊東洋経済 2022年12/24-12/31【新春合併特大号】(2023年大予測 108のテーマで混沌の時代を完全解明!)
『週刊東洋経済 2022年12/24-12/31【新春合併特大号】(2023年大予測 108のテーマで混沌の時代を完全解明!)』(東洋経済新報社)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──米国経済の現状をどうみますか。教授は22年秋、米CNBCの取材に対し、「利上げは、インフレの主因であるサプライサイド(供給側)の障害を解消しない」という指摘をしています。

今回のインフレは、通常のインフレと違い、「過剰需要」が要因ではないからだ。米国経済の総需要は、総供給力を意味する「潜在GDP(国内総生産)」を超過していない。サプライサイドの障害に端を発したインフレだ。

まず、半導体不足で、自動車価格が高騰。そして、コロナ禍での住居の移動で、需要増の地域で家賃が高騰した。つまり、利上げをしても、原油や食料の不足は解消されない。むしろ、利上げにより、サプライサイドの不足を解消するための投資が難しくなる。

企業も短期的な利益を求め、値上げに走る。値上げによる顧客離れで長期的には減益になるとしても、だ。利上げは短期的行動とインフレを誘発しかねない。

──米連邦準備理事会(FRB)は今後、利上げのペースを落とすようです。

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