さまざまなリスクを勘案し、各業界のベスト・ワーストシナリオを検証。「2023年大予測」特集の産業・企業パートから抜粋。

(写真:Ystudio / PIXTA)
ウクライナ、気候変動、インフレ……。混迷を極める世界はどこへ向かうのか。12月19日発売の『週刊東洋経済』12月24-31日号では「2023年大予測」を特集(アマゾンでの購入はこちら)。世界と日本の政治・経済から、産業・業界、スポーツ・エンタメまで108のテーマについて、今後の展開とベスト・ワーストシナリオを徹底解説する。この記事は本特集内にも収録しています。
手数料引き下げ競争に終止符

『週刊東洋経済 2022年12/24-12/31【新春合併特大号】(2023年大予測 108のテーマで混沌の時代を完全解明!)』(東洋経済新報社)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
「来年度の上半期にはオンラインの国内株式取引の売買手数料無料化を図る」──。
ネット証券最大手・SBI証券を抱えるSBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長は、11月に開いた決算説明会でそうぶち上げた。
株式を売買する際の手数料が完全に無料化されれば、証券会社は重要な収益源を失うことになる。ネット系以外の証券会社にとっても対岸の火事ではない。
1999年の株式委託手数料自由化から23年。ネット系の証券会社を中心に手数料の引き下げ競争が続いてきたが、ついに終止符が打たれることとなる。SBIは証券口座数3000万(2022年9月末時点で918万口座、傘下4社の合計)という途方もない目標を掲げている。手数料無料化は目標達成に向けた施策の1つという位置づけだ。
あるネット証券大手の関係者は「3年前の宣言どおりで、ある意味予想はしていた。今後の推移を見守りたい」と警戒する。手数料無料化に追随すれば、会社によって差はあるものの、3割から5割もの収益を失いかねないからだ。
トピックボードAD
有料会員限定記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら