さまざまなリスクを勘案し、各業界のベスト・ワーストシナリオを検証。「2023年大予測」特集の産業・企業パートから抜粋。
生命保険各社の2023年3月期決算では、「増収・減益」となる会社が多くなりそうだ。
まず保険料の増収要因としては米国金利など外国金利の上昇に伴って、外貨建ての保険商品の販売増が続いていることが挙げられる。銀行の窓口販売や営業職員チャネルなどで一時払いの外貨建て保険がよく売れている。
「みなし入院」で爆増
一方、減益要因としては、新型コロナウイルスの感染拡大による入院給付金や死亡保険金の支払額の増加によって、生保各社が想定した利益(危険差益)を得られなかった影響が大きい。
生命保険協会の発表によると、21年度の入院給付金の支払金額は業界全体で約1000億円だったのに対して、22年度上半期(4〜9月)では約4700億円に急増した。医師の管理下で自宅療養する、いわゆる「みなし入院」を支払い対象にしたことが主因だ。
ただ9月26日に政府がコロナ罹患(りかん)者の全数把握を取りやめたことで、「みなし入院」に対する給付金の支払対象者が「65歳以上の人」「妊娠中の人」などに限定された。給付金の支払対象者が約7割減る見通しだが、まだ楽観はできない。
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