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半導体「巨額支援」も辞さず攻めに転じる日本政府 TSMC熊本誘致は半導体産業の復活を図る第一手

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特集『半導体 次なる絶頂』の第12回。国策の対象となった半導体。日本を含めた各国がしのぎを削る。

TSMC新工場の建設現場
深夜0時ごろの新工場の建設現場。約20台のクレーンに付けられているライトが夜空を照らす(写真:記者撮影)

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「ほら見て、あそこだけ都会みたいでしょ」。10月某日の深夜0時。熊本市外に向けて走るタクシーの車中で、運転手は記者にそう語りかけた。

視界に入ってきたのは、夜空にそびえる何台もの巨大クレーン。その先に付けられたライトが辺りを煌々(こうこう)と照らし出している。光り輝く「都会」の正体は、世界最大手の半導体受託製造企業・TSMC(台湾積体電路製造)が建設を進める新工場の工事現場だ。

タクシーを降りて現場に近づくと、トラックがゲートを頻繁に出入りしていた。真夜中にもかかわらず、5分に1回ほどのペースと慌ただしい。東京ドーム4.5個分に当たる広大な敷地には、ショベルカーの動く音が響き渡る。

国が後押しする一大プロジェクト

次ページ半導体専門チームがつくられるのは約10年ぶり
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