「日本はNATOと呼ばれています。もちろん、NATO(北大西洋条約機構)ではありませんよ。Not Action Talk Onlyです。話すだけで何も動いてくれない」
ジャパン・アズ・ナンバーワンと呼ばれたのは遥か昔のこと。社内調整が多く、数%の値下げに数カ月かかる日本企業は、諸外国にとって極端に面倒くさい、「客にするメリットのない存在」になっている。その結果、半導体、LNG(液化天然ガス)、牛肉、人材……など、さまざまなものを「売ってもらえない国」になってしまった。
われわれは、「買い負け」という国難をどう乗り切るべきか――。本稿では調達のスペシャリスト・坂口孝則氏の新著『買い負ける日本』より一部抜粋してお届けする。
半導体を売ってもらえず日本産業が停止
「半導体不足でトヨタの生産が止まるの?」
これまでなら考えられない状況だった。王者として君臨してきた自動車産業のつまずきといえた。2021年に入った直後から自動車メーカーの工場稼働停止や生産台数減が相次いで発表された。トヨタが止まった。ホンダが止まった。日産が止まった。
日本勢だけではなく、フォード、ゼネラル・モーターズ、フィアット、フォルクスワーゲン等も同様だった。
理由は、半導体を調達できなかったから。その後、半導体不足で月の生産量が4割減になる自動車メーカーが出るなど、これまでの常識でいえば“異常状態”が続いた。あの自動車メーカーがちっちゃな半導体を入手できないのか──。
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