買い負けの現代的背景(1)政府の動き
日本が買い負ける背景として、日本半導体産業の世界的地位低下をあげた。その他、現代的背景を政治の面から示す。アメリカはなんでもやった。
ホワイトハウスでは2021年4月、ジョー・バイデン大統領が「CEO Summit on Semiconductor and Supply Chain Resilience(半導体のCEOサミット)」と名付けた決起集会を開いている。これはホワイトハウスと半導体・IT関連企業のトップを集めて開いたものだ。
ホワイトハウスのホームページでも内容を確認できるが、YouTubeで当日のバイデン大統領の様子を見ると、わざわざ半導体のウェハーを左手で取り関係者に「これがわれわれのインフラストラクチャーであり、多額の投資を行う」と宣言している。
石油や鉱物が眠っている場所は神様が決めたかもしれない。ただし、どこで半導体を生産するべきかは人間が政治的に決めるのだ。
さらに2021年9月23日にアメリカの商務長官であるジーナ・レモンド氏は半導体不足がボトルネックであるとし、代表的な半導体メーカーにたいして透明性を図るように伝えた。これは各社に需要量や在庫量などを開示するように求めたのだ。当然ながら契約情報などは機密にあたる。大きな反発は当然だった。しかし、アメリカは世界の中心であり、強引な手法であっても世界の半導体メーカーの注意をアメリカに向けさせ、もし歯向かったら何が起きるかわからない、と思わせるにはじゅうぶんだった。
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