佐藤:そんなふうになる可能性も全部考えた上で、「倫理的に許容される」と言っているならいいんですけど、本当にそうかなあ、逆に法的な解釈に踏み込みにくい事情が何かしらあるのかもな、だとしたらそれは何だろう、というような発想で社会を見ることが大事ですね。そうじゃないと、たぶん世の中を変えるような新しいアイデアは生み出せないんじゃないかなという気がします。
さまざまな立場に立って考えることが大事
塩野:今後、学生に、「こういうことを勉強しておいたほうがいい」ということはありますか。
佐藤:学生と話しているとよく思うのは、医療でいえば患者の立場からしか考えられない人が多いということです。自分が病院で治療を受けたときに何かいやなことがあったとか、いいことがあったという面でしか、医療と法の問題を考えられない。ですから私のゼミでは、いろんな人の立場になってもらうんです。ロールプレイみたいな話ですけど、あなたが医療ミスを犯してしまったお医者さんだったら、病院長だったら、患者側の弁護士だったら、逆に医療機関の弁護士だったら、厚生労働省の人だったらどうしますか、みたいなシミュレーションをやるんです。ですからものごとを多面的に見る訓練がすごく大事だと思います。
塩野:なるほど、政策立案者にもっとも必要な多様な視点ですね。本日はありがとうございました。
(構成:長山清子、撮影:今 祥雄)
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